受入れの実務

特定技能の退職が決まったら、出す届出と期限

「特定技能で働いている方から、来月で退職したいと申し出がありました。何から手をつければいいでしょうか」——受け入れから時間がたつと、こうしたご相談も届きます。会社が出す手続きは退職日を起点にした数本の期限に整理できます。入社の手続きと対になる「送り出す側の時系列」を、各機関の公表内容にそって並べます(2026年9月25日時点)。

退職は「自己都合か、そうでないか」で書類が分かれます

最初に確かめるのは退職の理由です。出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)は、自己都合で退職する場合の受入れ困難に係る届出について「必要ありません。特定技能雇用契約の終了に係る届出のみで結構です」と答えています。帰国のための退職も、本人の都合によるものなら同じ扱いとされています。

自己都合の退職 人員整理・倒産など会社側の事情による契約の解除
入管への届出 特定技能雇用契約の終了に係る届出 受入れ困難に係る届出 + 特定技能雇用契約の終了に係る届出
転職支援(義務的支援) ― 必要
保険・ハローワーク・住民税 日本人の退職と同じ流れ 同じ流れ

「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)は、転職支援を外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の義務的支援としています。申し出を受けたら、まず面談で理由と今後の予定(帰国か、国内で次の仕事を探すか)を聞き取ります。聞き方は定期面談の記事が参考になります。

入管へは、契約の終了日から14日以内

同Q&Aは、解雇の予告など契約の終了が見込まれる事由が生じた時点で受入れ困難に係る届出を、実際に契約が終了したら当該契約の終了日から14日以内に特定技能雇用契約の終了に係る届出を出す、という順番を示しています。

届出 様式 出す時期
受入れ困難に係る届出 参考様式第3-4号 自己都合でない場合。終了が見込まれた時点で先に
特定技能雇用契約の終了に係る届出 参考様式第3-1-2号 契約の終了日から14日以内

14日以内は、消印ではなく地方出入国在留管理局又は同支局に到達していることが必要とされています。「特定技能」で在留している間に生じた事由は、本人がすでに出国していても届出が必要とされています。数え方は随時届出の記事へ。

支援を登録支援機関に全部委託している場合は、支援委託契約も終わります。同Q&Aは、参考様式第3-1-2号の該当欄に支援委託契約が終了した事実を書けば、支援委託契約の終了に係る届出書(参考様式第3-3-2号)は出さなくてよいとしています。委託先と日付をそろえておくと1枚で済みます(委託先を変えるときの届出)。

ハローワーク・社会保険・住民税は、期限の短い順に

入管の手続きと並行して、日本人の退職と同じ手続きが走ります。

届出 出す先 期限
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届 日本年金機構(事務センターまたは管轄の年金事務所) 事実発生から5日以内。喪失日は退職日の翌日
雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号) ハローワーク 離職の翌日から起算して10日以内
外国人雇用状況届出書(様式第3号)※雇用保険に入っていない方 ハローワーク 離職の翌月末日まで
給与所得者異動届出書(住民税) 本人が住む区市町村 事由が発生した日の翌月10日まで

厚生労働省は、雇用保険の被保険者なら資格喪失届を出すことで外国人雇用状況の届出を行ったことになると案内しています。

住民税は、退職の時期で扱いが分かれます。東京都主税局の案内では、1月1日〜4月30日の退職は、5月31日までに支給する給与や退職金等が残りの税額を超えるなら、本人の申し出がなくても一括して特別徴収します。6月1日〜12月31日の退職は、本人から申し出があれば一括で特別徴収します。帰国する方とは、残りの税額の納め方を退職前に確認しておきます。詳細は本人が住む区市町村の案内をご確認ください。

本人に伝えておくこと

会社の届出とは別に、本人にも届出があります。特定技能を含む中長期在留者は、所属(契約)機関との契約が終了したとき、新たな契約を結んだときに、それぞれ事由が生じた日から14日以内に「所属(契約)機関に関する届出」を出します。退職前の面談で、出し方を一緒に確認しておきます。

国内で次の職場に移る予定なら、会社が変わるときは在留資格変更許可が必要で、申請中は新しい職場で働けません。流れは転職者を受け入れる手続きに整理しています。

会社側の事情で契約を解除する場合は、転職支援を行います。支援運用要領は、公共職業安定所などの職業安定機関を案内し必要に応じて同行すること、職業相談が受けられるよう推薦状を作成すること等のいずれかに加え、次の2つはいずれも行うとしています。

  • 求職活動を行うための有給休暇を付与すること
  • 離職時に必要な行政手続(国民健康保険や国民年金に関する手続等)について情報を提供すること

同要領は、可能な限り次の受入先が決まるまで支援を続けるよう求めています。自己都合の退職でも、国民健康保険や国民年金の窓口を一覧にして渡しておくと、本人が次の一歩を踏み出しやすくなります。

分担が変わるところは、ご相談ください

自己都合かどうかの見極め、支援を委託しているか自社で行っているか、帰国か国内の転職か。この3つで、誰がどの書類を、いつまでに用意するかが変わります。

私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として、支援を受託している範囲の記録や実施状況をお渡しし、御社が社内で届出書を作成できる体制づくりをご一緒しています。Q&Aは、届出書の作成を委任できる相手を行政書士又は弁護士としていますので、委任が必要な場面は行政書士等と連携して進めます。社会保険は社会保険労務士、税は税理士の領域です(受入れ支援のご案内)。申し出を受けた段階でのご相談が、いちばん整理しやすい形です。

まとめ:申し出を受けた日に、段取り表を1枚つくる

退職日を0日とした、送り出す側の届出と期限の段取り表

  • 最初に自己都合か、そうでないかを確かめる。入管への届出と転職支援の要否が決まる
  • 入管へは契約の終了日から14日以内(到達)。自己都合でなければ受入れ困難に係る届出を先に
  • 社会保険は5日以内、雇用保険は離職の翌日から10日以内(外国人雇用状況の届出を兼ねる)、住民税は翌月10日まで
  • 本人も14日以内に所属(契約)機関に関する届出を出す

最初の一手は、退職の申し出を受けたその日に、退職日を0日としてこの表に日付を書き込むことです。窓口ごとの期限が1枚に並べば、どの手続きも落ち着いて期限内に回せます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁をはじめ各機関の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年9月25日に確認。

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