受入れの実務

特定技能の随時届出、出す場面と期限の数え方

特定技能の随時届出、出す場面と期限の数え方

「支援の委託先を変えることにしたのですが、入管に何か出すのでしょうか」——受け入れが1年を過ぎたころから、こうしたご相談が増えます。特定技能の受入れ機関には、決まった時期に出す定期届出とは別に、何かが起きたときにその都度出す随時届出があります。出す場面は決まっていて数も多くないので、先に一覧にしておくと追われずに済みます。出入国在留管理庁のQ&A(令和7年6月)をもとに、出す場面と14日の数え方を整理します(2026年8月時点)。

定期届出と随時届出は、別の時計で動いています

届出は2本立てです。定期届出は、決まった対象期間の実績を決まった提出期間に出します(現在は年1回。詳しくは定期届出の記事へ)。随時届出は、カレンダーではなく出来事が引き金です。入管法第19条の18第1項が定める届出で、Q&Aは「届出事由が生じた日から14日以内に届出書を提出してください」としています。

引き金 期限の起点
定期届出 対象期間が終わったこと 決まった提出期間(年1回)
随時届出 届出事由となる出来事が起きたこと 届出事由が生じた日から14日以内

定期届出は思い出すもの、随時届出は気づくものです。

出す場面は、この6つです

Q&Aは、入管法第19条の18第1項が規定する随時届出として次の6つを挙げています。

届出 起きる場面
特定技能雇用契約に係る届出 雇用契約の変更・終了、新たな契約の締結
1号特定技能外国人支援計画変更に係る届出 支援計画の内容を変更したとき
登録支援機関との支援委託契約に係る届出 支援委託契約の締結・終了・変更
受入れ困難に係る届出 自己都合でない退職、行方不明、傷病、1か月以上活動未実施等
基準不適合に係る届出 特定技能基準省令第2条の基準に適合しない状況になったとき
1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出 支援計画に基づく支援を続けられなくなったとき

なお、雇用契約の変更が「軽微な変更」に当たる場合、届出は不要とされています。Q&Aはこれを「報酬又は労働条件以外の変更であって、特定技能雇用契約に実質的な影響を与えない変更」と説明し、具体例は運用要領第7章第1節第1の別表に案内したうえで、別表はあくまで具体例なので、記載されている例以外にも届出が必要になる場合があるとしています。迷ったら「対象かもしれない」側に置いて確認するのが早道です。

14日を、いつから数えるか

Q&Aは、未来日を届出事由発生日とする届出は提出できないとしています。数え始めるのは、予定を決めた日ではなく事由が生じた日です。

郵送はどうか。Q&Aは14日以内に地方出入国在留管理局又は同支局に到達している必要があるとしています。消印ではなく到達。届く日数を見込んで締切を決めます。

起点が2つに分かれるのは、退職が絡むときです。

退職が絡む場面では起算日が2つに分かれる図

Q&Aによれば、契約の終了が見込まれる事由(解雇の予告等)が発生した時点で受入れ困難に係る届出を出し、実際に契約が終了したら当該契約の終了日から14日以内に契約の終了に係る届出を出します。ひとつの出来事に見えても、時計は2つです。自己都合による退職の場合は受入れ困難に係る届出は不要で、契約の終了に係る届出のみとされています。

基準不適合の届出は起点が違い、「基準不適合となる事由が生じたことを知った日から14日以内」とされています。14日以内に是正できた場合でも届出は必要とされています。

14日を過ぎても、Q&Aは提出は「可能です。速やかに提出してください」としたうえで、届出が遅延した理由を説明する文書を必ず添付してくださいとしています。届出を行わなかった場合や虚偽の届出をした場合は、一定期間 特定技能雇用契約の締結ができない場合があるほか、罰金刑や過料に問われる可能性があるとも案内されています。気づいた時点で出す道は残っています。まず出す。

なお「特定技能」で在留している間に生じた事由は、他の在留資格に変更している場合や既に出国している場合でも届出が必要とされています。退職した方の件を「終わったこと」にしないでおくと取りこぼしが減ります。

届出の多くは、社内で何かを決めた瞬間に生まれます

随時届出の多くは、入管から連絡が来たときではなく自社で何かを決めたときに動き出します。契約条件、支援体制、委託先を決める場が、届出の起点です。

落ち着いて回している会社は、決めたその場で3つを決めています。①届出の対象になりうるか ②誰が書類を用意するか ③事由が生じる日と14日後はいつか。議事録に1行足すだけで、後から思い出す手間が減ります。

一方で、行方不明や傷病のように会議を経ずに起きる事由もあるので、気づいた人がすぐ上げる経路を別に用意しておきます。ただし基準不適合は、非自発的離職や報酬の不払いのように、会議での決定から生じることもあります。

もうひとつ、1つの出来事で複数の届出が必要になることがあります。

社内で決めたこと 示されている届出
委託先の登録支援機関を変更する 支援委託契約の終了又は締結の届出 + 支援計画変更の届出
委託を終了して自社支援に切り替える 支援委託契約の終了の届出 + 支援計画変更の届出(あわせて役職員から支援責任者・支援担当者を選任する必要があります)
全部委託から一部委託に変える 支援計画変更の届出 + 支援委託契約の終了の届出

届出の対象となる支援委託契約は全部委託の契約とされ、一部委託の契約は支援委託契約の届出の対象にはならないと整理されています。定期面談の実施を一部委託することはできないとも明記されています。委託の範囲を組み替えるなら、この2点を先に見ておくと設計が固まります(切り替えの段取り)。

出し忘れは、仕組みのほうで受け止める

期限のあるものを人の記憶で持たない、の一点です。在留期間の満了日と同じ列に、随時届出の期限も置いてしまう。置き場所はまず1か所に集めるところから、逆算は在留期間の更新の考え方が使えます。

提出先は、特定技能所属機関の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局又は同支局です。郵送時は封筒に「特定技能届出書在中」等と記載し、作成者である役職員の身分を証する文書(健康保険証等を含む)の写しを同封するよう案内されています。電子届出も利用でき、入管法が定める特定技能所属機関・登録支援機関の届出はすべてインターネットで行えるとされています。事前の利用者情報登録が必要です。

届出書には、特定技能所属機関の役職員であって実際に作成した人が署名するとされ、作成責任者と同一である必要はないとされています。また、届出書の作成を他人に委任できるのは行政書士又は弁護士に限られ、それ以外の者への委任は行政書士法等に抵触するおそれがあるとされています。書く人を先に決めておくと迷いません。

  • 6つの場面の一覧が、担当者の手元にあるか
  • 事由が生じた日と14日後を書く場所が1か所に決まっているか
  • 届出書を作成する役職員と、署名する人が決まっているか
  • 郵送か電子か。電子なら利用者情報登録は済んでいるか
  • 判断に迷ったときの相談先が決まっているか

私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として、支援を受託している範囲の記録や実施状況をお渡しし、御社が社内で届出書を作成できる体制づくりをご一緒しています。委任が必要な場面は相手が上記のとおり定められていますので、行政書士等と連携して進めます(支援の3本柱)。

どの変更が届出に当たるかは、雇用契約の中身や委託の範囲によって変わります。公表資料だけでは決めきれませんので、個別にお話を伺いながら、御社の場合の論点を一緒に整理します。「来月こう変えようと思っている」段階のご相談が、いちばん整理しやすい形です。

まとめ:6つの場面を、先に一覧にしておく

  • 随時届出は出来事が引き金。定期届出とは別の時計で動く
  • 出す場面は6つ。雇用契約・支援計画変更・支援委託契約・受入れ困難・基準不適合・支援計画の実施困難
  • 期限は届出事由が生じた日から14日以内。郵送は消印ではなく到達
  • 退職が絡む場面は起算日が2つ。基準不適合は「知った日」から
  • 過ぎても提出はできる。その場合は遅延した理由を説明する文書を添付する

最初の一手は、6つの場面の一覧を、契約や人事の書類を扱う場所に1枚置くことです。あとは契約や支援体制を変えると決めた会議で「対象か・誰が・いつまでか」を確認する。この2つで、随時届出は追われるものから段取りに変わっていきます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

2026年8月10日に確認。

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