内製化とコスト

支援の実施記録、どの様式で何年残すか

支援の実施記録、どの様式で何年残すか

「届出の時期になって、去年の面談メモを探しています」——受け入れを続けている会社で伺うことのある言葉です。特定技能の定期届出は、2026年4月からの提出分で1年に1回になりました。書く日は年に1回でも、書く材料は毎月の支援の中で生まれています。この記事では、届出の手前にある日々の記録だけを取り上げ、何を・どの様式で・どこに・どのくらい残すかを整理します。届出そのものの書き方は年1回の定期届出にまとめています。

記録は、届出のためだけに残すものではない

支援の記録は、届出とは別に求められています。特定技能基準省令第2条第2項第3号は、支援の基準の1つとして「1号特定技能外国人支援の状況に係る文書を作成し、当該1号特定技能外国人支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこと」を定めています(運用要領 令和8年8月版に掲載)。

記録は支援のたびに作るもの、定期届出は1年に1回の報告、と役割が分かれています。届出は4月1日から翌年3月31日までの分を翌年4月1日〜5月31日に出す形なので、5月に振り返る期間には13か月以上前の支援も入ります。その都度残しておけば、振り返るときに探さずに済みます。

支援の記録を3段で残す流れ。支援のたびに確認書・相談記録書・定期面談報告書を作り、月に1回それを一覧表に反映し、年に1回の定期届出で1年分を振り返って参考様式第3-6号別紙1を事業所ごとに作る。保存は特定技能雇用契約の終了の日から1年以上

何を残すか——義務的支援10項目と記録の対応

運用要領は、この文書に「少なくとも」記載する事項を挙げています。体制・委託契約・支援対象者の管理簿に加え、支援の実施に関する管理簿が日々の記録の中心です。義務的支援10項目と並べると次のとおりです。

義務的支援 管理簿に書く主な事項 参考様式
1 事前ガイダンス 実施日時・場所、情報提供の内容、方法、実施担当者 事前ガイダンスの確認書(第5-9号)
2 出入国する際の送迎 出迎え日(上陸日)・見送り日(出国日)、実施担当者 ―
3 住居確保・生活に必要な契約 住居の住所・形態・家賃等、契約支援の概要 ―
4 生活オリエンテーション 実施日時・場所、内容、方法、実施担当者 生活オリエンテーションの確認書(第5-8号)
5 公的手続等への同行 生活オリエンテーションの欄に含めて記録 ―
6 日本語学習の機会の提供 実施内容、方法、実施担当者 ―
7 相談・苦情への対応 相談日時、相談と対応の内容、行政機関への通報・相談の日時と相手先 相談記録書(第5-4号)
8 日本人との交流促進 実施日時・場所、促進した事項、実施担当者 ―
9 転職支援 相談日時・場所、相談と対応の内容、ハローワークへの相談、転職先候補 ―
10 定期的な面談・行政機関への通報 監督者の氏名・役職、面談日時、面談と対応の内容、実施担当者 定期面談報告書(第5-5号・第5-6号)

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)。どの行にも、本人の氏名・生年月日・国籍・地域・性別・在留カード番号が入ります。

参考様式が示されていない行も、求められているのは事項がそろっていることです。一覧表を1枚作り、行を足していく形にすると扱いやすくなります。

様式はどれを使うか

参考様式は、出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」から取ります。定期届出の様式には「令和8年4月1日以降に提出する際に使用する新様式」との注記があるので、一覧のページから取るのが確実です。

  • 事前ガイダンスの確認書(第5-9号)と生活オリエンテーションの確認書(第5-8号):本人に示して確認のうえ署名を得るとされています(運用要領別冊)。実施した日に署名までそろえておきます
  • 相談記録書(第5-4号):相談や苦情に対応したら記録しておく必要があるとされています。短い相談も1件として残します
  • 定期面談報告書(第5-5号・第5-6号):本人用と監督者用を、面談のたびに作成します。聞く中身は定期面談で何を聞くかにまとめています

定期届出の参考様式第3-6号別紙1は事業所ごとに作り、本社がまとめて1つの届出に添えます。「支援実施状況」の欄で問われるのは、支援の形態、支援担当者名と電話番号、随時届出(報告)の提出状況です。日々の様式を写す欄ではありませんが、支援が難しくなる出来事がなかったかを確かめるとき、様式で残した記録が振り返りの材料になります。

どこに、どのくらい残すか

期間は、先の条文のとおり特定技能雇用契約の終了の日から1年以上です。数え始めは契約が終わった日なので、在籍している間の記録はすべて残し、退職した方の分も1年以上置いておきます。オンラインで面談した場合は、同意を確認した書面を帳簿書類として保存し、録画を契約終了の日から1年以上保管する必要があるとされています(運用要領別冊)。

電子で残すことも認められています。条件は、必要に応じて出力し、直ちに整然とした形式および明瞭な状態で表示・書面化できることです。紙をスキャンして保存する方法も示されています。

電子で残すなら、私たちは次の3つを先に決めることをおすすめしています。

決めること 例
置き場 共有フォルダに「人ごと」のフォルダを作り、開ける人を支援の担当者に絞る(担当者のPCに置かない)
ファイル名 「日付_氏名_様式番号」で統一し、並べるだけで時系列になる形に
更新者 一覧表に更新日と更新者の欄を置き、誰が足したか分かるように

保存場所は支援マニュアルにも1行書いておくと、担当が代わっても探さずに済みます。

委託している会社がすること

支援の全部を登録支援機関に委託している場合、運用要領は、受入れ企業が支援計画の適正な実施に係る基準に適合するものとみなされるとしています。委託先の登録支援機関にも、支援業務の実施状況に係る文書を契約終了の日から1年以上備えて置くことが求められています。

一方で、定期届出を取りまとめて出すのは受入れ企業です。運用要領(令和8年8月)は、全部委託の場合、委託先の登録支援機関から支援の実施状況を取りまとめ、その部分は登録支援機関と情報共有したうえで、登録支援機関と連名で提出するよう案内しています。作成要領では、全部委託なら登録支援機関の署名が要り、電子届出なら委託先が1社でも署名を受けた別紙2を添付します(郵送・持参は委託先が複数のとき)。実施状況の共有と署名をいつ行うかを契約の段階で決めておくと、5月の段取りが組みやすくなります。一部委託や自社支援なら、記録を備えるのは自社です。会社の側の仕事は委託していても自社に残る仕事、自社支援に移るときの基準は自社で行う要件にあります。

様式の選び方、委託先との分担、保存場所の決め方は、受け入れ人数・事業所の数・委託の範囲で答えが変わります。ここは個別にご相談ください。私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として受託している範囲の支援記録をお渡ししており、内製化コンサルティングでは記録の置き場と様式の整理から、社内で回せる形を一緒に作ります。書類は社内で作成できるようにするための手順と様式の整理、作成支援までを行い、判断が要る場面は行政書士等と連携してご案内します。

まとめ:そのつど少しずつ残す

  • 支援の記録は、届出とは別に契約終了の日から1年以上備えて置くもの
  • 何を残すかは、義務的支援10項目と管理簿の事項を並べると決まる
  • 確認書・相談記録書・定期面談報告書は、参考様式第5-4号・第5-5号・第5-6号・第5-8号・第5-9号を使う
  • 電子保存も可。置き場・ファイル名・更新者を先に決める
  • 全部委託でも届出は受入れ企業が取りまとめ、登録支援機関と連名で出す。共有と署名の時期を決めておく

1年分をあとからまとめて思い出すより、支援のたびに少しずつ残すほうが、日付も中身も書きとめやすくなります。月に一度、一覧表とファイルを見返す日を決めておくと、抜けにも早めに気づけます。最初の一手は、2026年4月からの支援を上の10項目の表に当てはめて、日付を1つずつ入れてみることです。空いた欄が、次に残す記録になります。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年9月14日に確認。

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