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自社の仕事は特定技能の対象か、調べる順番

自社の仕事は特定技能の対象か、調べる順番

「うちの仕事は特定技能の対象になりますか」。受け入れを考え始めた会社から、最初にいただく質問はたいていこれです。ところが自社の業種名で検索しても、解説ごとに言い回しが違い、はっきりした答えが出てきません。決められないまま止まる——よくある入口の詰まり方です。

この質問には決まった調べ方があります。特定技能の対象は、会社の業種名ではなく**「特定産業分野」と「業務区分」の2段**で決まるからです。この記事では、2026年8月時点の公表資料を、どの順番でどこを見るかに絞って整理します。

「業種」ではなく「分野」と「業務区分」の2段で決まる

分野ごとの決まりは「分野別運用方針」という閣議決定の文書にあります。各分野の方針には「業務区分及び特定技能外国人が従事する業務」という項目が必ずあり、ここが2段目の入口です。

いちばん読みやすいのは介護分野です。原文はこうです。

「介護分野において設定する業務区分は介護とし、当該業務区分において従事する業務は身体介護等(利用者の心身の状態に応じた入浴、食事、排せつの介助等。以下同じ。)業務とする。」

分野が介護、業務区分も介護、従事する業務は身体介護等。区分が1つの分野は、これで読み切れます。

一方、多くの分野では方針の本文に区分名を書かず、「別表1のb.業務区分(従事する業務)の欄に定めるとおり」と別表に委ねています。工業製品製造業のように区分が複数ある分野もあれば、外食業のように区分が1つの分野もあります。分野が当たっても、別表の業務区分まで見ないと自社の作業が入るかは分かりません。

もう一つ、各分野の方針には「日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えない」という趣旨の記載があります。介護ならお知らせ等の掲示物の管理や物品の補充などが例示されています。ただし原文の語は「付随的に」です。関連業務を主たる業務として任せることは想定されていません。主たる業務が区分に入るかを先に確かめ、関連業務は「付随的に」の範囲で書き出しておくと、あとの突き合わせが速くなります。

介護分野を例に、特定産業分野・業務区分・従事する業務と関連業務の関係を入れ子で示した図。区分が複数ある分野もある旨の注記つき

順番①:分野別運用方針で、自社の分野を当てる

最初に開くのは、出入国在留管理庁のサイトにある分野別運用方針です。特定技能と育成就労の運用方針をまとめた文書で、令和8年1月23日の閣議決定です。

ここで一つ確かめておきたいことがあります。原文には「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(平成30年12月25日閣議決定)は、廃止する。」とあります。古い資料や、更新の止まった解説ページを基準にしない。日付を先に確かめるだけで、調べ直しが1回減ります。

分野は別紙1から別紙19まで、19分野です(2026年8月時点。原文の別紙を数えたもの)。

別紙 分野 別紙 分野
1 介護 11 鉄道
2 ビルクリーニング 12 物流倉庫
3 リネンサプライ 13 農業
4 工業製品製造業 14 漁業
5 建設 15 飲食料品製造業
6 造船・舶用工業 16 外食業
7 自動車整備 17 林業
8 航空 18 木材産業
9 宿泊 19 資源循環
10 自動車運送業

出典:分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定)の別紙

分野名は、日常で使う業種名と一致するとは限りません。「工業製品製造業」「資源循環」のように、社内での呼び名とずれることがあります。会社の看板ではなく、現場の作業の言葉で19本の別紙を横断して見るのが早道です。

なお、別紙8の航空と別紙10の自動車運送業は、特定技能の方針のみが定められています。育成就労は施行前の制度ですので、この記事は特定技能の入口に絞ります。選び方は育成就労と特定技能、どちらで受け入れるかへ。

順番②:業務区分と「仕事内容」を突き合わせる

分野の見当がついたら、次は業務区分です。出入国在留管理庁は「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」というページを設けていて、分野・区分の概要/従事する主な業務/想定される関連業務という並びで示されています。

ここでも時点の確認が要ります。2026年8月11日時点で掲載されているのは16分野で、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環は見当たりませんでした。掲載のない分野は、分野別運用方針の別紙と所管省庁の資料を見ることになります。

突き合わせは、先に自社の作業を書き出すほうが早いです。1日の流れを箇条書きにし、主たる業務と関連業務に仕分けます。

介護分野での例 原文での位置づけ 仕分けの考え方
入浴・食事・排せつの介助 業務区分「介護」で従事する業務(身体介護等) 主たる業務。ここが区分に入るかが判断の中心
お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充 日本人が通常従事する関連業務の例示 付随的に従事することは差し支えない。主たる業務にはしない

出典:分野別運用方針 別紙1(介護分野)

主たる業務が区分に見当たらないときは、対象外と決める前に、同じ分野の別の区分や隣の分野の別紙を見てください。呼び名が違うだけで別の区分に収まっていることがあります。

順番③:分野ごとの上乗せ要件を確かめる

分野と区分が見えたら、その分野に固有の条件を見ます。各分野の方針には、次の観点が並んでいます。

確認する観点 見る場所 介護分野での例(2026年8月時点)
技能水準 分野の別紙 介護特定技能評価試験(技能)相当以上の水準
日本語能力水準 分野の別紙 「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上、および介護特定技能評価試験(日本語)
雇用形態 分野の別紙 直接雇用に限る
協議会 分野の別紙・所管省庁 特定技能所属機関が分野別協議会の構成員になること
分野固有の措置 分野の別紙 事業所単位の受入れ人数の上限、訪問介護等に従事させる場合の要件(初任者研修課程等の修了・実務経験等)

出典:分野別運用方針 別紙1(介護分野)

試験名も水準の書き方も分野ごとに違います。一般化せず、自社の分野の別紙で確かめます。

協議会は、どの分野でも特定技能所属機関が構成員になることが条件です。別紙での呼び方は分野別協議会・特定技能の協議会と分かれ、窓口も必要書類も違います。有効期限がある証明書もあります(協議会加入と証明書の期限管理)。

雇用形態も見落としやすい部分で、今回確認した介護・工業製品製造業・外食業では「直接雇用に限る」と明記されていました。書きぶりは分野で異なるため、ここも別紙で確認してください。

分野が当たっても、仕事の中身に制限がかかる例もあります。外食業では、関連業務を含めて風俗営業法第2条第3項の「接待」に従事してはならないとされています。分野ごとに受入れ見込数も定められており、申請の可否に効く場面もあります(受入れ上限と、外食業で今できること)。

まとめ:3つの手順と、最後の確かめ先

  1. 分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定)の別紙19本を、現場の作業の言葉で横断して見る
  2. 分野が絞れたら、業務区分と仕事内容の資料で、主たる業務と関連業務を突き合わせる
  3. 技能水準・日本語能力水準・雇用形態・協議会・分野固有の措置を、自社の分野の別紙で確かめる

この3つを踏んでも境目に残る業務は出ます。4つ目は「確かめ先を持っておく」ことです。出入国在留管理庁が公開する特定産業分野ごとの問合せ先で、分野を所管する省庁の窓口が分かります。ここまで来れば、誰に聞けば決着するかが分かる状態になっています。

対象と分かったあとの最初の一手は企業が最初にやることにまとめています。

私たちは登録支援機関(登録番号25登-011704)ですので、個別の在留資格の可否を判断する立場ではありません。できるのは、分野と区分の当たりを一緒に付け、対象と分かったあとの支援体制の設計をお手伝いすることです。書類の作成支援で判断が必要な場面は行政書士等と連携します。分野の境目にある業務は、自社だけで決めきらないほうが結果的に早いです。迷ったところをそのままお聞かせください(受入支援の内容)。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。制度の要件は改正されることがありますので、最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年8月11日に確認。

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