制度を知る

育成就労と特定技能、どちらで受け入れるか

育成就労と特定技能、どちらで受け入れるか

「次に人を迎えるとき、特定技能と育成就労のどちらで考えればいいのか」。この半年、業種を問わずいただくご質問です。育成就労は令和9年(2027年)4月1日から運用開始と公表されており、特定技能は今日も動いている制度です。つまり2026年8月時点で、受け入れの入口は2つ並んでいる状態です。この記事では、自社がどちらの入口から考え始めればよいかを、公表されている範囲で整理します。

いま、入口は2つ並んでいる

まず、それぞれの位置づけです。特定技能は現に運用されている在留資格で、1号は特定産業分野19分野、2号はそのうち11分野が受入れの範囲とされています。

育成就労は、令和6年6月21日に公布された改正法により創設された制度です。出入国在留管理庁の「育成就労制度の概要」(令和8年7月改訂)は、技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されたとしたうえで、育成就労制度は令和9年4月1日から運用開始しますと記しています。目的は「我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保すること」とされています。

特定技能1号 育成就労
今の状態(2026年8月時点) 運用中 令和9年4月1日から運用開始と公表
期間 5年間 3年以内
受入れの範囲 特定産業分野 19分野 育成就労産業分野 17分野
計画の位置づけ 1号特定技能外国人支援計画 外国人ごとに育成就労計画を作成し認定を受ける
支援・監理の担い手 登録支援機関(登録制) 監理支援機関(許可制)

育成就労産業分野は、令和8年7月時点で特定産業分野19分野のうち17分野が設定され、設定がないのは自動車運送業分野と航空分野のみとされています。介護・建設・外食・製造・宿泊・ビルクリーニングといった分野は、いずれも設定がある側です。

ここで押さえておきたいのが、2つの入口は一本道ではないという点です。同資料の制度イメージには「育成就労を経ずに外国で試験を受験して特定技能1号で入国することも可」と明記されています。育成就労は特定技能1号へ続く道であって、特定技能1号に入る唯一の道ではありません。

特定技能1号にたどり着く2つの入口。外国で試験に合格して進む道と、育成就労を経て進む道を並べた図

時間軸で見ると、いつ何が動くのか

判断に効くのは、日付の並びです。公表されている予定は次のとおりです。

時期 動くこと
令和8年4月15日 監理支援機関の許可に係る施行日前申請の受付開始(受付済み)
令和8年9月1日 育成就労計画の認定に係る施行日前申請の受付開始(予定)
令和9年4月1日 改正法施行。育成就労制度の運用開始
令和9年4月1日以降 施行日前申請の結果を順次郵送(予定)

同庁の「育成就労制度に係る施行日前申請」のページは、「令和8年4月15日から監理支援機関の許可、同年9月1日から育成就労計画の認定に係る施行日前申請を外国人技能実習機構で受け付けることを予定しています」としています。

見落とすと空振りになるのが、この受付の窓口です。2026年8月時点で施行日前申請を受け付けるのは**外国人技能実習機構(OTIT)**であり、地方出入国在留管理局ではありません。なお、施行後に育成就労計画の認定を担うのは「外国人育成就労機構」とされています。在留資格の申請は従来どおり入管、計画の認定は機構、という二本立てです。

9月1日に何が始まり、そこまでに何を準備できるかは、育成就労の計画認定申請、9月開始予定に備えるにまとめてあります。本記事では、その手前にある「そもそもどちらの入口から採るのか」に絞ります。

どちらの入口が向くかは、いまの自社の状態で決まる

どちらが良いかを一般論で決めることはできません。決まるのは、自社が今どの状態にあるかです。3つに分けると、考える順番が見えてきます。

いまの状態 先に確かめること
すでに特定技能で受け入れている 次の採用の時期。施行日より前なら、いま動いている枠組みで進む
技能実習生が在籍している 在籍者ごとの移行段階と在留期限。経過措置の対象かどうか
これから初めて受け入れる 自社の分野の設定と、必要な人数がいつ必要か

すでに特定技能で受け入れている会社は、いま持っている体制がそのまま土台になります。支援計画・届出・面談の仕組みは、入口が増えても捨てるものではありません。

技能実習生が在籍している会社は、経過措置を先に読むのが早道です。同資料によれば、施行日前に入国し施行日時点で現に技能実習を行っている場合は引き続き技能実習を行うことができ、この場合は技能実習制度のルールが適用され、技能実習から育成就労に移行することはできないとされています。1号技能実習生は施行後も2号へ移行でき、3号への移行は施行日時点で2号を1年以上行っている者に限られるとされています。つまり在籍者は、原則として今の枠組みのまま満了まで進むという読み方になります。

これから初めて受け入れる会社は、2つの入口が両方使える立場です。必要な時期が施行日より前に来るなら特定技能が先に検討でき、育成の期間を確保したいなら育成就労が視野に入ります。どちらにしても、次の章の準備は共通です。

今日から動かせることは4つある

入口が決まっていなくても、先に進められる作業があります。

  1. 自社の分野の確認。育成就労産業分野に設定があるか、分野ごとの技能・日本語の水準はどうかを公表資料で見ておく
  2. 協議会の加入状態の確認。特定技能では在留諸申請の前に構成員となる必要があります(協議会加入と証明書の期限管理)
  3. 在籍者の棚卸し。令和9年4月1日を縦線として、在留期限と移行段階を1枚に並べる
  4. 社内の担当を1人決める。公表の更新を追う人がいると、9月以降の情報が自然に届く

日本語の水準も判断の材料になります。育成就労では就労開始までに日本語能力A1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5等)への合格、またはそれに相当する日本語講習の受講が求められるとされ、特定技能1号への移行時には技能検定3級や特定技能1号評価試験等に加えて日本語能力A2.2相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN4等)が挙げられています。どの段階でどの水準が要るかが分かれば、学習の計画は今から立てられます。

初めての受け入れで何から着手するかは、特定技能で人を受け入れるとき、企業が最初にやることが下地になります。入口が2つになっても、体制を先に決めるという順番は変わりません。

ここは自社の状況で答えが変わります

一方で、「うちはどちらで採るべきか」は、公表資料を読むだけでは決まりません。分野、必要な時期、在籍者の並び、社内で回せる人数によって答えが変わるためです。そこはお話を伺ったうえで、御社の場合どう考えるかをお伝えします。

私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として、特定技能の受け入れ後の体制づくりに携わってきました。育成就労の監理支援は監理支援機関(許可制)が担う別の枠組みですが、在籍者の棚卸しや記録の整え方、社内で回す仕組みづくりはご一緒できます(受入支援の内容)。書類の作成に判断が必要な場面では、行政書士等と連携して進めます。

まとめ:縦線を1本引いて、分野を1つ確かめる

  • 2026年8月時点で入口は2つ。特定技能は運用中、育成就労は令和9年4月1日から運用開始と公表
  • 育成就労産業分野は17分野。育成就労を経ずに外国で試験を受験して特定技能1号で入国することも可とされている
  • 施行日前申請の受付は外国人技能実習機構へ。計画認定は令和8年9月1日受付開始の予定
  • 在籍中の技能実習生は、経過措置により今の枠組みのまま進む形が原則

最初の一手は、カレンダーに令和9年4月1日の縦線を引き、自社の分野が育成就労産業分野の17分野に入っているかを1つ確かめることです。この2つが分かれば、9月以降の情報を自社の話として読めるようになります。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事は公表情報にもとづく目安であり、施行前の制度についての記載を含みます。内容は変更されることがありますので、最新の要件は出入国在留管理庁および外国人技能実習機構の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年8月7日に確認。

お問い合わせ →

まずは、お話を聞かせてください。

現状を伺ったうえで、必要な選択肢だけをお伝えします。

お問い合わせ →