受入れの実務

特定技能の一時帰国、休暇の配慮と再入国の段取り

特定技能の一時帰国、休暇の配慮と再入国の段取り

「年末に二週間ほど国に帰りたいのですが」。受け入れを続けていると、この相談はいつか来ます。一時帰国は制度が想定している場面で、対応の型もほぼ決まっています。早めに希望を聞ければ、現場はシフトを組み替えられ、本人も航空券を落ち着いて用意できます。制度上の約束・休暇の段取り・出国と再入国・戻ってからの記録の4つに分けて整理します。

制度は「必要な有給休暇を取得させる」と定めている

一時帰国の話は、特定技能雇用契約の基準に書かれています。特定技能基準省令第1条第1項第5号は、雇用関係に関する基準の一つとして「外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させるものとしていること」と定めています。

出入国在留管理庁の運用要領は、この基準について、一時帰国の申出があった場合、業務上やむを得ない事情がある場合を除き、何らかの有給の休暇を取得することができるよう配慮を求めるものだと説明しています。既に労働基準法上の年次有給休暇をすべて取得した方から希望が出た場合にも、追加的な有給休暇や無給休暇を取得できるよう配慮することが望まれる、とされています。

同じ箇所の留意事項には、実務でそのまま使える線引きが並んでいます。

運用要領の留意事項 実務での読み方
「有給休暇」は労働基準法第39条の年次有給休暇を含む一般の有給休暇をいう 年休のほか、社内の特別休暇も含めて考えられる
「業務上やむを得ない事情」=他の労働者が代替できない業務で、その日に従事しなければならない合理的な理由がある場合 「忙しいから」では当てはまらない
申出があった場合に必要な有給又は無給休暇を取得させることを特定技能雇用契約で定める 雇用条件書の記載を一度確認する
やむを得ない事情で認めない場合は、代替日を提案するなどの配慮を 断るのではなく別の時期を一緒に決める
休暇を取得したことを理由に就労上の不利益な取扱いをすると、基準に不適合となることもある 評価・シフト・手当に響かせない

制度が求めているのは「無条件に休ませること」ではなく、希望が出たら配慮して調整することです。あとは段取りの話になります。

希望は早めに聞き、シフトで受け止める

一時帰国の段取りを5段階で示した図。希望を聞く、休暇を決める、出国前に確認する、出国と再入国、戻ってからの面談と記録

一時帰国は「聞く→決める→確かめる→送り出す→迎える」の5つに分かれます。落ち着いて回している会社に共通するのは、定期面談の中で先に希望を聞いていることです。本国の行事や家族の事情は、何か月も前から決まっていることが多く、たずねれば教えてもらえます。

休暇そのものは労働基準法の枠組みで考えます。厚生労働省の解説によれば、年次有給休暇は雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日が与えられ、以後は勤続年数に応じて加算されます(20日が限度)。10日以上付与される労働者には、基準日から1年以内に5日を取得させる時季指定義務もあります。

この一般的なルールに、先ほどの「一時帰国には配慮を」が重なります。早めに聞けば、年休の残日数・シフト・繁忙期の3つを同じ机の上に並べて決められます。個別の労務の判断は社会保険労務士等の専門家と相談しながら進めると確実です。

出国と再入国——みなし再入国許可の条件

段取りのうち見落としやすいのが出国前の確認です。短期の一時帰国なら、多くの場合はみなし再入国許可(出国時の簡易な手続きで再入国許可を受けたものとみなす仕組み)を使います。出入国在留管理庁の案内では次のとおりです。

項目 案内されている内容
対象 有効な旅券を所持する方(「3月」以下の在留期間を決定された方と「短期滞在」の方を除く)。中長期在留者は旅券と在留カードの所持が必要
有効期間 出国の日から1年間。在留期限が1年を経過する前に到来する場合は在留期限まで
出国時 再入国出国記録の「一時的な出国であり、再入国する予定である旨」のチェック欄にチェックし、入国審査官にその旨を伝える
対象とならない方 在留資格取消手続中の方、出国確認の留保対象の方、収容令書の発付を受けている方、難民認定申請中の「特定活動」の方など

会社側がまず確かめるのは2つです。旅券の有効期間と、在留期限。在留期限が出国から1年以内に来る方は、有効期間もその日までとなります。帰国中に満了を迎えるなら、出国前に更新の段取りを済ませます(更新は満了のおおむね3か月前から)。在留カードの見方は券面の4か所と同じです。

1年を超えて出国する場合や、みなし再入国許可の対象とならない事情がある場合は、通常の再入国許可(入管法第26条)を検討します。有効期間は在留期間の範囲内で最長5年とされています。どの手続きになるかは個別の事情で変わりますので、該当しそうなときは地方出入国在留管理局や専門家に確認して進めます。

あわせて、再入国許可(みなし再入国許可を含む)により出国していた期間は、特定技能1号の通算在留期間5年に含まれる点も押さえます(同庁「通算在留期間」)。長めの帰国を予定する方には、更新の見通しとあわせて先に伝えておくと親切です。

戻ってからの記録と、届出の見落としを防ぐ

再入国が済んだら記録です。運用要領(第5章第2節)では、特定技能所属機関が備える帳簿(活動状況に係る文書)の記載事項に休暇の取得状況が挙げられています。定期届出も、一時帰国等で届出対象期間中にまったく就業していない場合でも、所属していれば対象になるとされています(同第7章第7節)。

間違えやすいのが契約の扱いです。運用要領(第7章第1節第2)は、一時帰国等を理由に一度雇用契約を終了した場合は、再雇用の予定があっても届出が必要としています。再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けずに出国した場合や、期限内に再入国しなかった場合も、契約終了として届出が必要です。期限内に戻り休暇として扱えば該当しないとされています。一時帰国は「退職」ではなく「休暇」として通す——ここが分かれ目です。

戻ってきたら、面談を1回入れます。家族の状況が変わっていることもあります。定期面談で何を聞くかの4領域をそのまま使えば、準備の手間を抑えやすくなります。出てきた相談は相談・苦情の窓口の受け皿へつなぎます。

1枚にしておくと、担当者が代わっても同じ対応をしやすくなります。項目は5つ。①希望を聞く時期②休暇の扱い(年休・特別休暇・無給休暇の順番)③出国前に確認するもの(旅券・在留カード・在留期限)④出国中の連絡方法⑤戻ってからの面談と記録。

ここは個別にご相談ください

私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として、受け入れ後の支援と、社内で対応を回す手順づくりをお手伝いしています。書類については作成の支援を行い、判断を要する部分は行政書士等と連携して進めます(代表の神谷は申請等取次者の承認を受けています)。

どこまで有給で扱うか、繁忙期に何人まで同時に送り出せるかといった線引きは、分野・勤務形態・受け入れ人数で答えが変わります。交代制の介護と、季節で波がある製造や外食とでは組み方が違います。御社の状況を伺ってお伝えしますので、個別にご相談ください。支援の内容は受入支援のページにまとめています。

まとめ:一時帰国の段取りを1枚にする

  • 一時帰国に必要な有給休暇で配慮することは、特定技能雇用契約の基準(特定技能基準省令第1条第1項第5号)
  • 年休を使い切っていても、追加的な有給休暇や無給休暇の配慮が望まれるとされている
  • 認められない場合は代替日を提案する。取得を理由に不利益な取扱いをしない
  • 短期の帰国はみなし再入国許可。有効期間は出国から1年、在留期限が先ならその日まで
  • 一時帰国を理由に契約を終了すると届出が必要。休暇として扱えば発生しない
  • 休暇の取得状況は帳簿に残し、戻ったら面談を1回入れる

次の一手は、次の定期面談で「今年、帰国の予定はありますか」とたずねてみることです。予定さえ分かれば、あとは順番に並べるだけです。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁等の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年9月12日に確認。

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