受入れの実務
在留期間の更新、3か月前から始める段取り

在留期間の更新は、受け入れをしている会社が定期的に迎える手続きです。「期限が近づいたら書類を出すもの」と捉えていると直前に慌ただしくなりやすく、一方で落ち着いて回している会社もあります。両者の差は担当者の器用さではなく、着手の時期にあります。更新は出す手続きというより、3か月かけて集める工程だと考えると、通常の業務の中に収まります。この記事では、その逆算の段取りを整理します。
更新の申請は「満了のおおむね3か月前」から出せる
出入国在留管理庁の案内では、在留期間更新許可申請の申請期間は在留期間の満了する日以前とされ、6か月以上の在留期間を有する方については、満了するおおむね3か月前から受け付けるとされています。標準処理期間は2週間〜1か月、手数料は許可されるときに6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)です(いずれも2026年8月時点)。
さらに、在留カードを持っている方が更新の申請をして、その処分が在留期間の満了の日までにされないときは、処分がされる時、または満了の日から2か月が経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、引き続き従前の在留資格で在留し、従前の活動を行うことができるとされています(いわゆる特例期間)。
| 時点 | 制度上の位置づけ/段取り上の扱い |
|---|---|
| 満了日のおおむね3か月前 | 申請の受付が始まる(6か月以上の在留期間を有する場合) |
| 申請〜処分 | 標準処理期間は2週間〜1か月 |
| 満了日 | 制度上の保証ではないが、標準処理期間から逆算してここまでに処分が出る想定で組む |
| 満了日を過ぎたとき | 申請中で処分がされていなければ、処分の時か満了日から2か月経過のいずれか早い時まで従前の在留資格で在留できる |
大事なのは、この2か月を予定として当てにしないことです。あくまで審査が続いている場合の取扱いであって、準備が遅れたときの猶予ではありません。実務では「受付が始まる3か月前が着手日」と決めてしまうのが楽です。着手日が決まれば、残りは順番に並べるだけになります。
なお、6か月未満の在留期間(4か月など)を指定された方は、この3か月前からの受付の対象ではありません(申請は在留期間の満了する日以前に行います)。その場合も、手元の準備は3か月前から始めておけば、やることの順番は変わりません。
3か月前・1か月前・提出時の3段階で揃える
特定技能の在留諸申請では、出入国在留管理庁が提出書類一覧・確認表を公表しており、書類は大きく申請人に関する必要書類・所属機関(受入れ機関)に関する必要書類・分野に関する必要書類に分かれています。この3つは、集める相手も、揃うまでの時間も違います。ひとまとめの「更新の書類」として扱うと最後に全部が重なるので、別々の締切として並べると流れが止まりません。
| 時期 | この時期にやること | 主に動く相手 |
|---|---|---|
| 3か月前 | 次に更新を迎える人の一覧を出す/分野に関する必要書類の内容が変わっていないか公表内容で確認する/本人の旅券の有効期限を確認する | 分野の所管省庁・協議会の公表情報 |
| 1か月前 | 所属機関に関する必要書類を社内で集める(経理・労務・支援の記録の担当がそれぞれ出す) | 社内の各担当 |
| 提出時 | 申請人に関する必要書類を本人と最終確認し、申請書を仕上げる | 本人 |
3か月前にまず「分野に関する必要書類」を見に行くのは、ここが自社の努力では動かせない部分だからです。分野ごとの要件や証明書は所管省庁の公表内容で確認するしかなく、確認して初めて社内の段取りが決まります。逆に1か月前に置いた社内の資料は、自分たちで期日を守れるものです。動かせないものを先に、動かせるものを後に置く——この順にすると、待ち時間が重なりにくくなります。
在留期間は一人ひとりに指定される。だから更新月はそろわない
特定技能1号の在留期間は、出入国在留管理庁の案内では法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)とされています。つまり、更新月が人によってばらつくのは制度どおりの姿です。一覧が無ければ管理は個人の記憶に寄ってしまいますが、一覧さえあれば、ばらつきはそのまま予定表になります。
あわせて押さえたいのが、特定技能1号は通算で原則5年以内という点です。同庁の「通算在留期間」のページでは、数え方が次のように整理されています。
| 通算に含まれる期間 | 通算に含まれない期間 |
|---|---|
| 「特定技能1号」で在留中の就労していない期間 | 産前産後休業期間・育児休業期間 |
| 再入国許可(みなし再入国許可を含む)により出国していた期間 | 病気・けがによる休業期間 |
| 「特定技能1号」への移行を希望する場合の「特定活動」の在留期間 | 感染症の拡大防止のための措置等により再入国できなかった期間 |
含まれない期間がある方については、通算5年の満了前(おおむね3か月前)に関係する書類を添えて申請するよう案内されています。該当しそうな方は、更新の3か月前に手元の記録で休業の期間を確認しておくと、そこから先の相談が具体的になります。なお個別の申請が許可されるかどうかは審査を経て決まるものですので、この記事では可否の見通しは扱いません。
更新のたびに慌てない会社がやっていること
私たちが見てきた範囲では、落ち着いて更新を回している会社は、更新のために特別なことをしていません。毎月の仕事の中で、更新に使う材料が自然に残る形になっています。
- 月次で残す——給与・勤怠の記録、定期面談の記録、届出の控えを、その月のうちに同じ場所へ入れておく
- 届出と更新で同じ資料を使う——受入れ機関の定期届出は、令和8年(2026年)4月1日からルールが変更されています。提出は1年に1回で、対象期間は4月1日から翌年3月31日、提出期間は翌年5月31日まで(四半期に1度の提出は2025年4月15日までに提出するものが最後と案内されています)。随時届出は、対象となる事由が生じた日から14日以内です。この届出のために整える記録は、更新のときにも下敷きになります
- 担当者以外でも出せる状態にする——保管場所と手順が共有されていれば、担当者の休暇や異動で工程が止まりません
材料の置き場所づくりは、まず1か所に集めるところから始めるのが現実的です。面談の記録も、定期面談で何を聞くかを決めておけば、後から読み返せる形で残ります。書類づくりの効率化も、下書きは自動・確定は人の切り分けを守れば無理なく続けられます。こうした社内の型づくりは、内製化のご支援としてもご一緒しています。
自社でどこまでやり、どこから相談するか
私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として、受け入れ後の支援と、社内で更新を回す体制づくりをお手伝いしています。書類については作成の支援を行い、判断を要する部分は行政書士等と連携して進めます。申請の提出については、同庁の案内で、申請人本人のほか法定代理人、届出をした弁護士・行政書士、申請等取次者としての承認を受けた職員などが行えるとされています(代表の神谷は申請等取次者の承認を受けています)。
そのうえで、分野に関する必要書類の中身や、本人の事情で用意するものが変わる部分は、公表資料を読むだけでは決めきれません。ここは御社の分野・体制・受け入れ人数によって答えが変わりますので、個別にお話を伺ったうえでお伝えします。次の更新が近い方がいらっしゃるなら、その1件を題材にご相談いただくのがいちばん早いはずです。
まとめ:次の更新月をカレンダーに入れる
- 更新の申請は、満了日のおおむね3か月前から受け付けられる(6か月以上の在留期間を有する場合)
- 満了日までに処分がされないときの取扱い(特例期間)はあるが、予定に組み込むものではない
- 書類は申請人・所属機関・分野の3区分。3か月前/1か月前/提出時の3段階に割り振る
- 特定技能1号の在留期間は個々に指定される。更新月はそろわないので一覧で持つ
- 月次で残した記録が、届出にも更新にもそのまま使える
最初の一手は、次に更新を迎える人と、その満了日の3か月前の日付を、共有カレンダーに入れることです。ここまで入れば、更新は期限のたびの山場ではなく、予定された作業のひとつにしやすくなります。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。
出典
いずれも2026年8月2日に確認。
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
- 出入国在留管理庁「特例期間とは?」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/tokureikikan_00001.html
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/specifiedskilledworker.html
- 出入国在留管理庁「通算在留期間」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri10_00002.html
