内製化とコスト

支援計画を自社で書く——10項目の埋め方

支援計画を自社で書く——10項目の埋め方

「支援計画は、登録支援機関が作ってくれる書類だと思っていました」——特定技能1号の受け入れを始める会社で、よく伺う言葉です。1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)は、在留資格の申請にあわせて入管へ提出する書類です。社内の動き方を書いた支援マニュアルとは役割が違い、こちらは**「この人に、どの支援を、どう行うか」を国に示す書面**にあたります。この記事では、2026年8月時点で公表されている出入国在留管理庁の運用要領別冊をもとに、10項目の埋め方を順に整理します。先にお伝えすると、書式も項目の並びも決まっているので、順番が分かれば自社で書ける書類です。

作成するのは受入れ企業。委託していても同じ

入管法第2条の5第6項は、特定技能雇用契約を締結しようとする機関が、1号特定技能外国人支援の実施に関する計画を作成しなければならないと定めています。同条第8項は、その計画が法務省令で定める基準に適合しなければならないとしています。

そして運用要領別冊は、登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する場合であっても、支援計画の作成については特定技能所属機関(受入れ企業)が行うこととなると書いています。あわせて、登録支援機関が必要に応じて作成の補助を行うことは差し支えない、ともされています。

つまり「自社だけで書き上げてください」という話ではなく、名義と最終的な中身の確認が会社に残るという建て付けです。委託を続けるか自社に戻すかにかかわらず、まずはこの書類を読める・書ける状態にするところから始められます。委託していても会社に残る仕事の全体像は支援を委託していても、自社に残る仕事に並べました。

目次は10項目。ここは考えなくていい

支援計画で最初に迷いやすいのが「何を書くのか」ですが、項目は決まっています。並びは次の10項目です。

# 支援項目 主に動く時期
① 事前ガイダンスの実施 在留資格の申請前(締結時以前が望ましい)
② 出入国する際の送迎 入国時・帰国時
③ 住宅確保・生活に必要な契約支援 入国前後
④ 生活オリエンテーションの実施 入国後
⑤ 公的手続等への同行 入国後・随時
⑥ 日本語学習の機会の提供 継続
⑦ 相談・苦情への対応 随時
⑧ 日本人との交流促進 継続
⑨ 転職支援 会社都合の契約解除時
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 3か月に1回以上

項目の並びの出典は運用要領別冊。「主に動く時期」の列は原文に無く、当社による整理です。

支援には、必ず行わなければならない義務的支援と、加えて行うことが望ましい任意的支援があります。別冊は、義務的支援はその全てを行う必要があり、支援計画には全ての義務的支援を記載しなければならないとしています。

ここで一つ、書く量に効く判断があります。別冊は、任意的支援についても支援計画に記載した場合には支援義務が生じると明記しています。「やれたらやる」ことまで書き込むと、それは実施する約束になります。初版は義務的支援を確実に書き、任意的支援は自社が続けられるものだけを選ぶ。この線引きを先に決めておくのが、書き始めるときの目安です。①の中身は事前ガイダンスで何を伝えるかにまとめてあります。

実施方法と言語の要件がかかる項目がある

10項目のうち、書き方そのものに要件がかかるものがあります。

対象の支援 かかる要件(省令第4条)
事前ガイダンス 対面により又はテレビ電話装置その他の方法により実施されることとされていること(第2号)
事前ガイダンス/生活オリエンテーション/相談又は苦情への対応/定期的な面談 外国人が十分に理解することができる言語により実施されることとされていること(第3号)

出典は特定技能基準省令第4条。左列のまとめ方は当社による整理です。

「十分に理解することができる言語」は母国語に限られないとされています(後述)。ですから「日本語で説明」という記載が直ちに要件を外れるとは限りません。ただ、その一行だけでは本人が十分に理解できる言語かを読み取れないので、誰が、どの言語で行うのかまで書いておくと、要件との対応が示せます。

言語の手当てについて、別冊は、円滑にコミュニケーションを行えることを前提に場合によっては翻訳機の活用も可能としつつ、込み入った相談・苦情対応等を行うような場合には通訳人の介在が不可欠と考えられるとしています。全場面に通訳を常駐させる必要はなく、日常の連絡と込み入った相談を分けて書けばよい、と読めます。

委託するなら「委託の範囲」を書く

支援の一部を外部に委託している会社は多いと思います。省令第4条第4号は、一部の実施を他の者に委託する場合にはその委託の範囲が明示されていることを基準としています。支援計画は、この委託の形をそのまま書き分ける欄を持っています。

形 支援計画での書き方 あわせて押さえる点
全部委託 委託先(登録支援機関)を記載 委託を受けた支援の実施そのものを他の者に委託することはできません。通訳や送迎のタクシーなど、補助者に実施の補助を依頼することは差し支えないとされています
一部委託 どの項目を委託するかを項目単位で明示 ⑩定期的な面談の実施・行政機関への通報は、一部委託の対象から除かれています
自社実施 担当する部署・担当者を記載 支援責任者・支援担当者の体制と整合させます

出典は特定技能基準省令第4条第4号と運用要領別冊。3つの「形」への切り分けは当社による整理です。

費用についても決まりがあります。別冊は、1号特定技能外国人支援に要する費用のうち義務的支援に係るものは、直接又は間接に本人に負担させることはできないとしています。また、全部の実施を委託する契約を結ぶ際、登録支援機関は受入れ企業に支援に要する費用の額及び内訳を明示することが求められるとされています。一部を自社に戻していく段取りは外注から自社へ、切り替えの段取りに書きました。

見落としやすい欄——共生施策と、本人の署名

最後に、初めて書くときに空欄のまま出しやすい2か所です。どちらも埋め方が決まっているので、手順として持っておけば落ちません。

1つ目は、市区町村の共生施策の確認です。 別冊は、支援計画の作成・実施にあたって、本人が活動する事業所の所在地および住居地が属する地方公共団体が実施する共生施策を確認し、これを踏まえて実施しなければならないとしています。事業所と住居地の自治体が異なる場合は、それぞれ確認する必要があります。確認は基本的に自治体ホームページの閲覧によることが想定されています。書く場所は2つに分かれます。確認した市区町村名・確認日・確認方法は支援計画に記入することとされ、共生施策を踏まえた支援の中身は支援計画書(参考様式第1-17号)のⅣ支援内容の自由記入欄に記載することとされています。別冊には10項目それぞれの記載例が並んでいます。ゴミ出しのルール、防災訓練、地域の日本語教室など、支援に資する施策が対象になります。

2つ目は、本人への交付・説明・署名です。 支援計画は日本語で作成するほか、本人が十分に理解することができる言語でも作成し、写しを交付したうえで内容を説明し、十分に理解したことについて署名を得る必要があるとされています。「十分に理解することができる言語」は母国語に限られませんが、内容を余すことなく理解できる言語をいう、と説明されています。署名をもらうところまでが作成と考えて段取りを組むと、申請前に残っている作業が見えてきます。

どの項目を自社で持ち、どこを委託に残すかは、受け入れ人数・分野・社内の担当者の数で答えが変わります。分野ごとの事情もあります。線引きの見立てが必要なときはお問い合わせからご相談ください。私たちは内製化コンサルティングで、支援計画を自社で書けるようにする手順と様式の整理をご一緒しています。いまの委託を続けたまま準備する形も、登録支援機関としての支援とあわせてご相談いただけます。なお、届出書・申請書類の作成を報酬を得て社外へ委任できる相手は行政書士または弁護士に限られています。私たちが行うのは社内で作成できるようにするための整理までで、判断が要る場面は行政書士等と連携してご案内しています。

まとめ:埋める順番を決めておく

  • 支援計画を作成するのは受入れ企業。全部委託でも作成は会社に残り、委託先の補助を受けることは差し支えないとされている
  • 目次は10項目で固定。義務的支援は全て記載する。任意的支援は記載すれば支援義務が生じる
  • 事前ガイダンスには実施方法の要件、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応・定期面談には言語の要件がかかる
  • 一部委託なら委託の範囲を項目単位で明示する
  • 共生施策の確認(市区町村名・確認日・確認方法)と、本人への交付・説明・署名まで進めて完成

最初の一手は、上の10項目の表を1枚に写し、各項目の右に「自社/委託先」と担当者名を書き込んでみることです。埋まる欄と空欄に分けるところまでなら、今日のうちに手をつけられます。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

2026年8月25日に確認。

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