受入れの実務

住居の確保、会社はどこまで手伝うか

住居の確保、会社はどこまで手伝うか

在留資格の見通しが立って入国日が見えてくると、「そういえば住まいはどうするのか」という話が社内で急に現実味を帯びてきます。物件を見に行く会社もあれば、既にある社宅に入ってもらう会社もあります。住まいの確保は義務的支援の一つで、方法・広さ・費用の受け取り方それぞれに満たすべき内容が示されています。入国後の手続きの並び順は入国から最初の1か月にやることに書いたので、この記事では住まいそのものを扱います。以下は2026年8月時点で公表されている内容にもとづく整理です。

先に決めるのは「3つのうちどれで行くか」

出入国在留管理庁の運用要領別冊は、1号特定技能外国人が住居を確保していない場合の支援として、次のいずれかの方法で、かつ本人の希望に基づき支援を行うことが求められる、としています。準備が早い会社は、物件を探すより先にこの3つのどれで行くかを決めています。ただし方法は本人の希望に基づいて選ぶことが求められているので、社内で決めるのは候補の絞り込みまでです。

方法 賃貸借契約の名義 会社の動き
① 本人が借りる 本人 不動産仲介事業者や賃貸物件に係る情報を提供し、必要に応じて同行して住居探しの補助を行う
② 会社が借りて提供 会社等 会社等が自ら賃借人として契約し、本人の合意の下で住居として提供する
③ 自社の社宅を提供 ー(自己所有) 受け入れ企業が所有する社宅等を、本人の合意の下で住居として提供する

※「会社等」は原文の「特定技能所属機関等」(受け入れ企業と、支援計画の全部の委託を受けた登録支援機関)です。③の主体は原文では「特定技能所属機関」(受け入れ企業)で、「等」は付いていません。

①で実務がよく詰まるのが連帯保証人です。ここにも道筋があり、連帯保証人が必要な場合であって適当な者がいないときは、少なくとも次のいずれかの支援を行うこととされています。

  • 会社等が連帯保証人となる
  • 利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに、会社等が緊急連絡先となる

本人に代わって会社が賃借人となることも、適切な住居の確保のための支援の一つとして行うことが求められる、と書かれています。なお、本人が賃借人として契約する住居をどこにするかは本人の意思に委ねられますが、その場合でも適切な住居の確保に係る支援は行うことが必要とされています。

広さは1人当たり7.5平方メートル以上

居室の広さは、一般的に我が国に相当数存在する居室の面積等を考慮し、1人当たり7.5平方メートル以上を満たすことが求められるとされています。ルームシェアなど複数人が居住する場合は、居室全体の面積を居住人数で除した面積が7.5平方メートル以上でなければならない、と書かれています。

ここでいう「居室」は、建築基準法第2条第4号に規定する居室(居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室)を指すとされ、ロフト等は含まれない点に留意が必要とされています。

ケース 広さの要件
新たに住居を確保する場合 1人当たり7.5平方メートル以上
ルームシェア等で複数人が住む場合 居室全体の面積 ÷ 居住人数が7.5平方メートル以上
技能実習2号等から特定技能1号へ変更し、申請時点で会社が既に確保している社宅等への居住を希望する場合 少なくとも技能実習生について求められている寝室1人当たり4.5平方メートル以上

3段目は、社宅にそのまま住み続けたいという本人の希望がある場合に限った扱いです。一般的な目安として4.5平方メートルを使うものではありません。技能実習2号等を終えて一度帰国したのち在留資格認定証明書交付申請に及んだ場合も、その社宅等が生活の本拠として継続しているなど引き続き居住を希望するときは同じ扱いです。

費用は「経済的利益を得てはならない」から逆算する

②③のように会社等が自ら賃借人となるときは、社宅等を貸与することにより経済的利益を得てはならないとされています。本人から費用を徴収する場合は、借上物件の場合、自己所有物件の場合に応じて、次のとおりでなければならないとされています。

場面 本人から徴収できる額
借上物件 借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金等は含まない)を、入居する特定技能外国人の人数で除した額以内の額
自己所有物件 実際に建設・改築等に要した費用(土地の購入代・造成費用等は除く)、物件の耐用年数、入居人数等を勘案して算出した合理的な額

①の場合の敷金・礼金等と保証料は、上の要件とは別に定められています。

①の場合 費用の扱い
敷金・礼金等 本人において負担するものとされ、会社に負担を求めるものではありません。会社等が任意に全額負担することや、負担割合を合意して一部負担することも妨げられないとされています。ただし本人の希望や近隣賃貸物件の敷金等の相場、報酬額等を踏まえ、適切な住居を確保することができるように支援することになるとされています
家賃債務保証業者の保証料 利用した場合は、会社等が負担する必要があるとされています

家電・家具・食器などの備品や、火災保険・損害保険等を定期に徴収する場合も書かれています。前提は、その費用の対価として提供される利益が本人に帰属するものであり、かつ本人がその提供を受けることを十分理解していることです。そのうえで、請求が実費の範囲内で、備品の耐用年数や入居人数等を勘案した合理的な額であれば、本人と会社が合意している限りにおいて要件を満たすものとされています。保険は、被保険者や保険金の請求権者が本人であることなど、内容を確認したうえで判断するとされています。

賃貸借契約書と管理費の内訳、入居人数、備品の購入額と耐用年数。この4点を控えておくと、徴収額の根拠を説明できます。

入居した後も、退職が決まった後も続く

住居の支援は、鍵を渡した時点で終わりではありません。運用要領別冊には続きの場面が書かれています。

  • 受入れ後に転居する場合にも支援を行うことが求められます(現住居から通勤することが困難となるような配置換え等の特段の事情がないにもかかわらず、自らの都合により転居する場合は除くとされています)
  • 住居の確保に係る支援は、離職が決まった後も、特定技能雇用契約がある間は行うことが求められることに留意する必要があるとされています
  • 雇用契約の解除・終了後、次の受入先が決まるまでの間に住居の確保の必要性が生じた場合、直近の会社等が日常生活の安定・継続性に支障が生じないよう配慮することが望まれます(こちらは義務的支援ではなく任意的支援です)
  • 住居については、同等の業務を行う日本人と同等の処遇を確保する必要があるとされています。日本人労働者に社宅を提供するのであれば同等に社宅を提供し、居室の広さも同等に確保する必要がある、と例示されています

逆に、技能実習2号等から特定技能1号へ変更する方が既に確保している住居に引き続き居住する場合など、支援が客観的状況に照らして明らかに不要であるときは、実施しなくても差し支えないとされています。ただしその住居から退去せざるを得なくなった場合などには、新たな住居の確保に係る支援が必要になるとされています。「一度決めたら終わり」ではなく、住まいが動いたら支援も動く、という設計です。

入居後の住み心地や近隣とのやりとりは、本人から自発的に出てくるとは限りません。3か月に1回以上の定期面談は、こうした話題を拾うのに向いた場です(定期面談で何を聞くか)。住居の確保に係る支援の内容は、入国前の事前ガイダンスで説明する事項にも含まれています。手順は1か所に書いておくと引き継ぎが楽になります(支援マニュアルに何を書くか)。

まとめ:住まいは「方法・広さ・費用」の3点で決まる

  • 方法は3つ。本人が借りる/会社が借りて提供する/自社の社宅を提供する。本人の希望に基づいて選ぶ
  • 連帯保証人が見つからないときは、会社が連帯保証人になるか、家賃債務保証業者の確保+会社が緊急連絡先になるか
  • 広さは1人当たり7.5平方メートル以上(ルームシェアは居室全体の面積÷人数)。居室は建築基準法上の居室で、ロフト等は含まれない
  • 会社が賃借人となる場合、貸与により経済的利益を得てはならない。徴収額は借上費用を人数で除した額以内、自己所有なら合理的な額
  • 受入れ後の転居時も、離職が決まった後も雇用契約がある間は支援が求められる

最初の一手は、上の3つの方法のどれで行くかを1つ選び、社内の誰が動くかを決めることです。ここが決まれば、広さの確認も費用の計算も、後は順に埋めていく作業になります。

物件の事情も家賃の水準も地域で違うので、同じ方法がどの会社にも合うわけではありません。私たちは宅地建物取引業者ではないため物件の仲介そのものは行いませんが、どの方法で行くか、費用をどう受け取るか、社内の誰が担当するかという組み立ては一緒に考えられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。登録支援機関としての支援(登録番号 25登-011704)としてお引き受けすることも、内製化コンサルティングで自社の手順に落とし込むことも、どちらの形でもご相談いただけます。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

2026年8月14日に確認。

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