受入れの実務

入国から最初の1か月にやること——住居・役所・口座の順番

入国から最初の1か月にやること——住居・役所・口座の順番

在留資格が下り、入国日が決まると、受け入れ企業の関心は「初日に何をするか」に移ります。ただ、実際に手続きが集中するのは初日ではなく、そこからの1か月です。住居、役所への届出、銀行口座、携帯電話。それぞれに期限や前後関係があり、順番を知らないまま迎えると、同じ窓口に二度行くことになります。

入国前の準備——支援計画や委託の判断——については、特定技能で人を受け入れるとき、企業が最初にやることで整理しました。この記事はその続編です。入国日を起点に、最初の1か月を時系列で並べます。私たちが見てきた範囲では、うまく回っている受け入れはこの並びを守っています。

最初の1か月の全体像

出入国在留管理庁が定める1号特定技能外国人への義務的支援のうち、入国直後に動くのは次の項目です。時系列に置き直すと、こうなります。

時期 やること 対応する義務的支援
入国前 住居を確保しておく 住居確保の支援
入国日 空港等から事業所または住居へ送迎 出入国する際の送迎
入国直後 生活オリエンテーション(8時間以上が目安) 生活オリエンテーションの実施
住居を定めてから14日以内 市区町村へ住居地の届出 公的手続等への同行
届出のあと 銀行口座・携帯電話・ライフラインの契約 生活に必要な契約の支援

出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」ほか

起点になる送迎は、入国時に空港等から事業所または住居まで行うこととされています。到着ロビーで顔を合わせるところから支援は始まっています。なお、この表の前段には事前ガイダンス(在留資格の申請前に行う説明。3時間程度が目安とされています)がありますが、入国前の工程なので本記事では割愛します。

表のポイントは2つです。住居だけは入国前に終わらせておくこと。そして役所の届出を先に、各種契約を後に置くことです。以下、順に見ていきます。

住居は「入国前」の仕事

住居確保の支援は、入国後に慌てて探すものではありません。運用要領では、本人が住居を確保していない場合、賃貸借契約の連帯保証人になる、受入れ機関が借りた物件を本人の合意のもとで提供する、社宅を提供する、といった方法で支援することが求められています。

広さにも基準があります。居室は1人当たり7.5㎡以上を満たすことが求められ、ルームシェアの場合は居室全体の面積を居住人数で割って7.5㎡以上が必要とされています(技能実習からの在留資格変更で、それまでの社宅に引き続き住むことを希望する場合などの例外があります)。

つまり、物件選びの段階で広さの計算まで済ませておく必要があります。入国日に鍵が開く状態にしておけば、送迎はそのまま新居への案内になり、翌日から生活が立ち上がります。

役所の手続きは「14日以内」が軸

入国後の期限として最初に来るのが、住居地の届出です。出入国在留管理庁は、新規上陸した中長期在留者について、住居地を定めた日から14日以内に、住居地の市区町村の窓口で在留カードを提示して届け出ることとしています。

この届出を起点に、生活のインフラが順に立ち上がります。

手続き 内容
住居地の届出 住居を定めてから14日以内。市区町村の窓口へ在留カードを持参
社会保険 適用事業所なら健康保険・厚生年金(保険料は給与から天引き)。適用事業所以外では国民健康保険・国民年金の手続きを本人が行う
マイナンバー 住民票が作成された後、マイナンバーの通知が自宅に郵送される

出典:出入国在留管理庁「新規上陸後の住居地の届出」・「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

義務的支援の「公的手続等への同行」は、まさにこの場面のための項目です。運用要領は、必要に応じて住居地・社会保障・税などの手続に同行し、書類作成の補助を行うこととしています。窓口の書類は日本語です。最初の役所は同行を前提に予定を組むほうが、本人にとっても会社にとっても確実です。

口座・携帯・ライフラインは「補助」まで決まっている

住居地の届出が済んだら、生活に必要な契約に移ります。ここも支援の範囲が明確です。運用要領は、銀行口座の開設、携帯電話の契約、電気・ガス・水道などのライフラインの契約について、必要な書類の提供と窓口の案内を行い、必要に応じて同行するなど、各手続の補助を行うことを求めています。

代わりにやってあげる、ではなく、本人が自分で契約できるように補助する。この建て付けを知っておくと、社内で「どこまでやるべきか」と迷わずに済みます。書類を揃え、窓口を案内し、最初の1回は隣にいる——そこまでが仕事です。2回目からは本人ができます。

なお、契約の変更や解約の際の補助は任意的支援と位置づけられています。義務ではありませんが、最初の1か月にまとめて契約したものは、いずれまとめて見直しの時期が来ます。契約時の書類を会社側でも控えておくと、そのときに慌てません。

生活オリエンテーションは「8時間以上」

最初の1か月の中で最も時間を割くのが、生活オリエンテーションです。日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応などを説明する支援で、運用要領は、情報提供する事項を十分に理解するためには少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられるとしています。

これは初来日の方に限った話ではありません。技能実習を良好に修了した方や留学生を同じ機関で引き続き雇用する場合でも、相談窓口の連絡先や緊急時の対応など、必要な情報を十分に理解してもらうことが求められています。日本での生活経験があるからと省略できる項目ではない、と押さえておくのが安全です。

8時間と聞くと長く感じますが、内容には社会保険や税の仕組み、相談窓口の連絡先、緊急時の対応まで含まれます。1日で詰め込む必要はありません。役所への同行や契約の補助と組み合わせて、実際の手続きを教材にしながら進めると、座学だけより本人の理解が早く進みます。窓口で一緒に書いた書類は、資料で読んだ説明より記憶に残ります。

まとめ:入国日から逆算して予定を置く

  • 住居は入国前に確保する。居室は1人当たり7.5㎡以上が基準
  • 入国日は空港等から住居・事業所への送迎から始まる
  • 住居を定めてから14日以内に、市区町村へ住居地の届出
  • 口座・携帯・ライフラインは、書類の提供・窓口の案内・同行までが支援
  • 生活オリエンテーションは8時間以上を目安に、手続きと組み合わせて行う

最初の一手は、入国日をカレンダーに置き、14日目に線を引いて、その間に送迎・届出・オリエンテーションの予定を埋めてみることです。埋まらない日程なら、社内の手が足りていないことが入国前に分かります。

1か月を過ぎたころ、次の定着の課題になるのが日本語学習の続け方です。そちらは日本語学習が止まる理由と、続けさせる設計で扱っています。

この1か月をどの体制で回すか——自社の担当者で行くか、委託するか、同行を誰が担うか——は、受け入れ人数と分野、社内に置ける人で答えが変わります。そこはお話を伺ったうえで、御社の場合どうかをお伝えします。 私たちは登録支援機関として、この最初の1か月の設計からご一緒しています。受入支援の内容もあわせてご覧ください。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

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