制度を知る

技能実習から特定技能へ、切り替えで変わること

技能実習から特定技能へ、切り替えで変わること

「実習が終わっても、この人に残ってほしい」。仕事を任せられるようになった会社ほど、このご相談をいただきます。続けて働いてもらう道として用意されているのが、在留資格を「特定技能1号」へ変更する方法です。この記事では、すでに雇っている実習生に続けて働いてもらうとき、会社側が何を、どの順番で進めるかを、2026年9月時点の公表内容をもとに、在留期限から逆算して整理します。働く人の要件そのものは特定技能で働ける人の要件、2つのルートをご覧ください。

まず確認する3点

出入国在留管理庁の「特定技能制度に関するQ&A」は、技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は「技能及び日本語能力の証明が免除されます」としています。「良好に修了」とは、計画に従って2年10月以上修了していることをいう、とされています。

最初に確かめる点は3つです。

確認すること 見る先 分かること
① 実習の職種・作業と、特定技能の業務区分の対応 分野別運用方針・運用要領別冊(分野別) 技能試験が免除になるか
② 良好に修了した(見込み)か 技能検定3級等の合格証明書、または評価調書 免除のルートに乗れるか
③ 在留期限 在留カード 申請の締め切り

関連性が認められない場合は技能試験の合格が必要で、日本語試験は原則免除とされています。介護分野の介護日本語評価試験など、分野による例外もあります。業務区分とは、分野の中で従事できる業務のまとまりのことです。自社の仕事がどの分野に当たるかは自社の仕事は特定技能の対象か、調べる順番で確かめられます。

実習実施者から特定技能所属機関へ、会社の立場が変わる

大きく変わるのは会社の立場です。技能実習でも会社は実習生と雇用契約を結んでいますが、立場は技能実習計画に沿って実習を行う「実習実施者」で、団体監理型であれば監理団体の監理を受けます。特定技能では「特定技能所属機関」として特定技能雇用契約を結び、その履行と支援に責任を持つ側になります。

技能実習 特定技能1号
会社の呼び名 実習実施者 特定技能所属機関
軸になる計画 技能実習計画 1号特定技能外国人支援計画
間に入る機関 監理団体(団体監理型の場合) 登録支援機関(支援を委託する場合)
受入れ後の届出 技能実習の制度に沿って行う 地方出入国在留管理局へ定期・随時の届出

運用要領(令和8年8月)は、報酬額が日本人と同等額以上であることを含む基準への適合と、受入れ後の定期・随時の届出を特定技能所属機関に求めています。実習の数年間で築いた職場の関係は、そのまま土台になります。

手続きの順番と、いつから動くか

技能実習から特定技能1号への切り替え手順を在留期限から逆算して5段階で示した図。確認する3点、協議会への加入、雇用契約と支援計画、変更申請、許可後の就労の順。書類が揃わない場合は移行準備の特定活動という道がある

押さえどころは3つです。

1つ目は協議会です。Q&Aは「特定技能所属機関は在留諸申請の前に必ず構成員となる必要があります」としています。窓口は分野ごとに違うので、早めに着手します(協議会加入と証明書の期限管理)。

2つ目は申請の時期です。Q&Aは、技能実習2号の実習中でも申請できるとしています。一方、2号を修了した後は、変更許可を受けるまで働くことができないとされています。修了日までに許可を受けられるよう、書類が揃い次第早めに申請するのが、空白を作らない進め方です。なお、その人を受け入れていた実習実施者が引き続き雇う場合、過去1年以内に技能実習法の改善命令を受けていなければ、合格証明書の写しと評価調書の提出を省略できるとされています(運用要領)。

3つ目は期限までに書類が揃わない場合です。同庁は、受入れ予定の機関で働きながら移行を準備できる「特定活動(6月・就労可)」を案内しています。期限までの変更申請が困難な合理的な理由があることなどが要件で、この期間は特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれます。期限が近くても、使える道を確かめるところから動けます。

体制と費用はどう変わるか

団体監理型の技能実習では、監理団体に監理費を支払って監理を受けます。特定技能に切り替わると監理団体の監理はなくなり、代わりに支援をどう実施するかを会社が決めることになります。選び方は2つです。

  • 自社で支援する:支援計画に沿って、支援責任者・支援担当者を置いて自ら実施する
  • 登録支援機関に委託する:運用要領は、支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合は、適正な実施の確保に係る基準に適合しているとみなされる、としています

どちらが合うかは人数と社内体制で変わります。委託費の見方は登録支援機関の委託費、金額差はどこから生まれるかで整理しています。受け入れが数名のうちは委託から入り、人数が増えてから社内で持つものを段階的に移す、という進め方もできます(内製化の支援)。

育成就労が始まったあとの見え方

育成就労は、令和9年(2027年)4月1日に運用開始予定の施行前の制度です(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」令和8年7月改訂)。同資料では、施行日時点で現に技能実習を行っている人は引き続き技能実習を行うことができ、技能実習制度のルールが適用されるとされています。在籍中の実習生は、原則として今の枠組みのまま切り替えを考えます。

「令和9年4月から試験免除がなくなる」と聞きますが、同庁が示すのは、技能実習法施行以前(平成29年11月1日以前の在留資格「技能実習」など)に修了した人は、令和9年4月1日以降、技能と日本語の試験の両方への合格が必要になるという取扱いです。今の実習生すべてが対象ではありません。

育成就労計画の認定の施行日前申請は、令和8年9月1日から外国人技能実習機構が受付の窓口とされています(同庁「育成就労制度に係る施行日前申請」)。これは育成就労で新たに受け入れる手続きで、特定技能への切り替え(地方出入国在留管理局へ申請)とは窓口が別です。

ここは判断が分かれるので、ご相談ください

業務区分との関連性、分野ごとの例外、期限と書類の並べ方は、一人ひとりの経歴と分野で答えが変わります。私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)であり、監理団体・監理支援機関ではありません。個別の在留資格の可否を判断する立場でもありません。できるのは、確認すべき資料を一緒に整理し、切り替え後の支援体制を整えることです。書類は作成の支援まで行い、判断が要る部分は行政書士等と連携して進めます(受入支援の内容)。

まとめ:在留期限から逆算した1枚の表を作る

  • 試験免除は、技能実習2号の良好な修了と、業務との関連性で決まる
  • 会社は実習実施者から特定技能所属機関へ。支援は自社で行うか登録支援機関に委託する
  • 協議会の加入は申請の前に。変更申請は実習中から出せる
  • 期限に書類が間に合わないときは、移行準備の特定活動という道がある

最初の一手は、在籍する実習生ごとに「在留期限/誰が/いつまでに/何を出すか」を1行ずつ書いた表を作ることです。逆算して並べるだけで、いつ動けば間に合うかが見えます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

なお、本記事は公表情報にもとづく目安であり、施行前の制度についての記載を含みます。最新の要件は出入国在留管理庁および外国人技能実習機構の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年9月24日に確認。

お問い合わせ →

まずは、お話を聞かせてください。

現状を伺ったうえで、必要な選択肢だけをお伝えします。

お問い合わせ →