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特定技能で働ける人の要件、2つのルート

特定技能で働ける人の要件、2つのルート

自社の仕事が特定技能の対象になりそうだと分かると、次に出るのは「では、どんな人なら働けるのか」という質問です。調べると「試験に合格した人」と「技能実習からの移行」という2つの言葉が並びますが、どちらが自社に関係するのかは、なかなか書いてありません。ここを一度整理しておくと、分野が変わっても同じ順番で調べられます。仕事の側から調べる順番は自社の仕事は特定技能の対象かにまとめたので、この記事は人の側を扱います。以下は2026年8月時点で公表されている内容にもとづく整理です。

まず共通の条件を押さえると、全体の形が見える

出入国在留管理庁の運用要領には、特定技能1号の上陸基準の第1号として、イからヘまでの項目が並んでいます。どの項目にも同じ「ただし書」が付いていて、技能実習2号を良好に修了し、かつ修得した技能が業務に要する技能と関連性が認められる場合にはハ及びニに該当することを要しない、とされています。このほか、保証金の徴収や違約金契約等がないこと、費用負担の合意、本国で必要な手続などの基準も定められています。

2つのルートは、別々の制度ではありません。共通の土台があり、そのうちハ(技能水準)とニ(日本語能力)の確かめ方が2通りある、という形です。ここが見えると、調べる範囲は一気に絞れます。

共通で求められる主なもの 運用要領に書かれている内容(要旨)
イ 18歳以上であること 18歳未満でも在留資格認定証明書の交付申請を行うことは可能だが、日本に上陸する時点では18歳以上でなければならない。学歴については特に基準は設けられていない
ロ 健康状態が良好であること 新規入国の場合は申請の日から遡って3か月以内に医師の診断を受けることが必要。在留中の者が変更申請をする場合は、申請の日から遡って1年以内に日本の医療機関で受診していれば差し支えない
ホ 旅券 退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関が発行した旅券を所持していること。ただし書の免除対象(ハ・ニ)ではないため、どちらのルートでも求められる
ヘ 通算在留期間 「特定技能1号」で在留した期間が通算して5年(当該在留資格をもって5年を超えて在留することについて相当の理由があると認められる場合にあっては6年)に達していないこと。運用要領は「通算で原則5年以内であることを求めるもの」と説明している。特定技能2号評価試験等に不合格となり一定の要件を満たす者は通算在留期間が6年となる。「通算」は特定産業分野を問わず、過去に「特定技能1号」で在留していた期間も含む

出典:特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年4月1日一部改正)

18歳の要件では、認定証明書の有効期間が交付日から3か月以内である点に留意が求められます。通算の期間には失業中の期間も含まれる一方、妊娠・出産・育児や病気・怪我による休業の期間は、疎明資料から認められる場合に限り含めない扱いです。

共通条件(18歳以上・健康状態が良好・告示で定める国や地域の旅券・通算在留期間が原則5年)を土台に、試験等で証明するルート1と、技能実習2号の良好な修了と業務との関連性によるルート2に分かれる図

ルート1:技能と日本語を、試験その他の評価方法で確かめる

1つ目は、試験で確認する道です。運用要領は、従事しようとする業務に必要な「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を有していることが試験その他の評価方法により証明されていることを求める、としています。日本語は、ある程度の日常会話ができ生活に支障がない程度の能力を基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められる、という書き方です。

大事なのは、試験の名前がここに書かれていないことです。技能水準の試験その他の評価方法は分野別運用方針で定められ、日本語能力水準は分野所管行政機関が定める試験等により確認することとされています。分野の特性に応じ、技能試験によらない評価方法を認めている分野もあり、複数の日本語試験の合格を求めている分野もあります。「特定技能の試験はこれ」と一般化せず、自社の分野の資料で確かめるのが確実です。

国内試験を受験できるのは在留資格を有して日本に在留中の外国人で、「短期滞在」の者も含まれますが、在留資格を有しない者は含まれません。また、告示で定める国・地域以外の国の方は、国内での受験資格は認められないとされています。試験に合格したとしても、そのことをもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではない、とも明記されています。試験は要件の1つであって結論ではない、という整理です。

ルート2:技能実習2号を良好に修了しているか

2つ目は、技能実習2号からの道です。条件は2つあり、両方が揃って初めてただし書に乗ります。①技能実習2号を良好に修了していること、②当該修了している技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められること、です。

「良好に修了している」の中身も運用要領に定義があります。技能実習を2年10か月以上修了し、①技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること、または②合格していないものの、実習実施者が出勤状況や技能等の修得状況、生活態度等を記載した書面により良好に修了したと認められること、をいうとされています。

免除の範囲は、技能と日本語で書きぶりが違います。

項目 免除の範囲(運用要領の要旨)
技能水準(ハ) 技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合に、試験その他の評価方法による証明は要しないとされる
日本語能力水準(ニ) 技能実習2号を良好に修了している場合は、原則として、修了した技能実習の職種・作業の種類にかかわらず証明は要しないとされる(N4レベルの試験免除)
日本語の例外 介護分野で証明を求めることとしている介護日本語評価試験の合格は、介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了した者を除き、試験免除されない。自動車運送業分野(タクシー運転者、バス運転者に限る)および鉄道分野(運輸係員に限る)はN3レベルの日本語能力が必要となるため、良好に修了している場合でも証明を要する

出典:特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年4月1日一部改正)

なお、この関連性は分野別運用方針において定められています。自社で決め打ちせず、分野の別冊にあたるのが手順です。技能実習と育成就労の関係で迷ったときは育成就労と特定技能、どちらで受け入れるかもあわせてご覧ください。

自社で調べる順番は、この3段に分けると絞り込めます

要件が2ルートに分かれていても、調べる順番は1本です。進んでいる会社は、この順で手を動かしています。

順番 やること 見る先
① 自社の分野の技能水準・日本語能力水準の書きぶりを読む 分野別運用方針の別紙
② その水準を確認する試験等の詳細を見る 分野所管行政機関の情報、運用要領別冊(分野別)
③ 本人が持っている証明書が、①②で見た内容と対応しているかを確かめる 手元の書類

③で確認する物はルートで変わります。ルート1なら技能試験と日本語試験の合格証明書の写し(分野が試験以外の評価方法を採っている場合は、それを証明する資料)です。ルート2なら、技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し、合格していない場合は技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)です。

知っておくと助かる扱いが2つあります。1つは、自社がその人を技能実習生として受け入れていた実習実施者で、過去1年以内に技能実習法の「改善命令」を受けていなければ、合格証明書の写しと評価調書の提出を省略できるとされている点です。もう1つは、過去の実習実施者から評価調書の提出を受けられない場合の道筋で、経緯を説明する理由書に加えて、評価調書に代わる文書(当時の技能実習指導員等が作成した実習状況の説明文書など)を提出したうえで、出入国在留管理庁が総合的に評価することも可能とされています。まずは地方出入国在留管理局に相談を、と書かれています。

分野ごとの試験の名前、免除の範囲、技能実習の職種・作業と自社の業務との関連性。この3つは分野と経歴で答えが変わり、社内だけで結論を出しにくい典型です。私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)であり、個別の在留資格の可否を判断する立場ではありません。できるのは、どの資料のどこを見れば決着するかを一緒に整理し、確認先の窓口まで見通しをつけることです。書類の作成支援で法的な判断が必要な場面は、行政書士等と連携して進めます(受入支援の内容)。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

まとめ:次の一手は「共通条件」から

  • ただし書で免除の対象になるのはハ(技能水準)とニ(日本語能力)だけ
  • 共通で求められる主なものは、18歳以上・健康状態が良好・告示で定める国や地域の旅券の所持・「特定技能1号」の通算在留期間が原則5年(例外的に6年)に達していないこと
  • ルート1は、分野別運用方針に定める技能試験等と、日本語試験等での証明
  • ルート2は、技能実習2号の良好な修了と、業務との関連性が認められることの2つが揃うこと
  • 日本語の免除には例外がある。介護分野の介護日本語評価試験のように、分野側の定めを必ず見る

最初の一手は、共通条件を確認することです。ここは分野を問わず同じなので、生年月日・健康診断の受診時期・旅券・過去に「特定技能1号」で在留した期間をメモにするだけで足ります。そのうえでどちらのルートかを決めれば、あとは順に見ていく作業です。受け入れ全体の段取りは企業が最初にやることにまとめています。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。制度の要件は改正されることがありますので、最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

いずれも2026年8月22日に確認。

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