内製化とコスト

外国人材の支援費用、外注と内製でいくら違うのか

外国人材の支援費用、外注と内製でいくら違うのか

特定技能で外国人材を受け入れている会社には、毎月、登録支援機関からの請求書が届きます。1人あたりいくら、という形が多いので、受け入れが2人から4人に増えると、支援の委託費もおおむね2倍になります。「この費用、ずっと払い続けるものなのだろうか」——ご相談は、たいていこの一言から始まります。

この記事では、支援費用を外注する場合と自社で支援する(内製する)場合とで何がどう違うのかを、費用の形・知見の行き先・制度上の位置づけの3つから整理します。金額の話は最後にしますが、先にお伝えすると、一般論の「相場」は書きません。委託費は支援の範囲と地域で幅が大きく、根拠のない相場を書いても御社の判断材料にならないからです。代わりに、自社の実額を自分で確かめる手順を書きます。

前提:支援費用は、企業が負担するものです

まず動かせない前提からです。1号特定技能外国人の支援に要する費用は、外国人本人に直接または間接に負担させないことが、特定技能雇用契約の基準として定められています(特定技能基準省令)。出入国在留管理庁の運用要領は、この「支援に要する費用」に登録支援機関への委託費用を含むと明記しています。

つまり、外注しても内製しても、支援の費用は受入れ企業側が持ちます。給与から天引きする、本人に一部払わせる、という形で減らすことはできません(住居の賃貸料など、生活の実費を必要な限度で本人が負担することは妨げられていません)。

削減の余地があるのは「誰がその支援をやるか」の部分だけです。だからこそ、外注と内製の比較に意味があります。

外注費と内製費は、金額の前に「形」が違う

外注と内製の違いは、単価の高い安いではありません。費用の形そのものが違います。

外注(登録支援機関へ委託) 内製(自社で支援)
費用の形 人数に比例する委託費。受け入れが続く限り毎年発生 担当者の人件費と立ち上げの工数。人数が増えても比例しにくい
知見の行き先 委託先に蓄積される 社内に残り、次の受け入れで再利用できる
支援体制の基準 全部委託なら、基準を満たしたものとみなされる 自社で基準を満たす必要がある
向く段階 初めての受け入れ、担当を専任にできない段階 受け入れが続き、社内に担当を置ける段階

3行目は制度の話です。支援は登録支援機関に全部の実施を委託でき、全部委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます(出入国在留管理庁)。外注費が買っているのは支援の作業だけではなく、この「みなし」も含まれているわけです。逆に言えば、内製に移るとは、この基準を自社で満たす体制をつくることを意味します。

もう1つ、金額に表れない違いが2行目の知見の行き先です。外注を続けると、面談で何が話され、どんなつまずきがどう解決されたかは、委託先に蓄積されていきます。数年後に受け入れ人数が増えたとき、社内には経験者がおらず、委託費だけが人数に比例して増えている——という形になりがちです。内製では同じ経験が社内の担当者に残り、次の受け入れの立ち上がりがそのぶん速くなります。

だから、外注が割高で内製が割安、という単純な話にはなりません。人数が少ないうちは外注のほうが安く、人数が増えるほど内製の固定費と、社内に残った知見が効いてくる——という構造の違いとして捉えるのが実態に合っています。

自社の委託費は、契約書と請求書で棚卸しできる

では、御社の場合はいくら違うのか。ここで役に立つ制度の建て付けがあります。支援の委託契約を結ぶときは、支援に要する費用の額等を明示することが求められており、明示しないことは登録支援機関の登録拒否事由とされています(出入国在留管理庁)。つまり、御社の手元にある委託契約書には、費用の額と対象が書かれているはずなのです。

棚卸しは、この3ステップで進みます。

# やること 見るもの
1 年間の委託費の実額を出す 委託契約書・毎月の請求書
2 費用を支援項目ごとに割り付ける 支援計画書(義務的支援10項目)
3 項目ごとに「自社でできるか」を判定する 担当者の顔ぶれ・言語対応・記録の所在

3番目の判定は、項目ごとに「誰が・どの言語で・どこに記録を残してやるのか」を書けるかどうかで見ます。書けない項目は、いま移すべきではない項目です。

2番目がいちばん効きます。義務的支援10項目のうち、たとえば定期面談や生活オリエンテーションは受け入れのたびに発生しますが、住居確保の支援は入国時に集中します。毎月の定額の中に、実際にはもう発生していない支援が含まれていないか。ここが見えると、内製に移す候補が自然に浮かび上がります。10項目が何かは特定技能で人を受け入れるとき、企業が最初にやることで整理しています。

そのうえで、実際の変化の幅としてお伝えできるのは事例です。私たちが内製化をお手伝いした会社では、年間の支援費用を40〜80%削減できた事例があります。たとえば愛知県の介護施設では、自社内に外国人支援チームを立ち上げ、マニュアル整備と社内研修まで行って、年間の支援コストを40%削減しました。削減率は受け入れ人数・分野・社内体制によって異なり、同じ成果をお約束するものではありませんが、幅の実例として参考になるはずです。ほかの事例は実績・導入事例に載せています。

内製にすると、かえって高くつく場合もある

正直に書くと、内製が常に安いわけではありません。受け入れが数名の段階で担当者を専任にできないまま全部を自社に移すと、支援の質が下がるうえ、担当者の残業や離職という見えない費用が委託費より高くつくことがあります。その段階なら、外注を続けたほうが合理的です。

うまくいっている会社は、全部を一度に移していません。まず1つの業務から——たとえば定期面談の記録を自社で取り始める——という形で、棚卸しで浮かび上がった候補から順に社内へ移しています。移した分だけ委託の範囲を見直し、費用も体制も段階的に切り替えていく進め方です。私たちの内製化コンサルティングも、この「分けて、段階的に」を前提に組み立てています。

まとめ:まず年間の実額を1枚に

  • 支援費用は企業負担。減らせるのは「誰がやるか」の部分
  • 外注と内製は単価ではなく費用の形が違う。人数が増えるほど内製の固定費が効く
  • 委託契約書には費用の額が明示されているはず。契約書と請求書で年間実額を棚卸しする
  • 内製化で年間支援費用を40〜80%削減できた事例がある(結果は体制と規模により異なります)
  • 少人数のうちは外注継続が合理的。移すなら1業務から

最初の一手は、直近1年分の請求書を集めて、年間の実額を1枚にまとめることです。それだけで、この記事の比較表が御社の数字で読めるようになります。

そのうえで、どの項目を社内に移せるか、いつが切り替えどきかは、受け入れ人数・分野・社内に誰を置けるかで答えが変わります。向き・不向きの見立て方は内製化に向く会社、向かない会社の見分け方に書きました。**そこはお話を伺ったうえで、御社の場合どうかをお伝えします。**内製化が向かない段階なら、向かないと申し上げます。

なお、本記事の内容は公表されている情報にもとづく目安です。制度の要件は改正されることがありますので、最新の要件は出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。

出典

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