AIと業務効率

面談の話を記録に変える。文字起こしとAI要約

面談の話を記録に変える。文字起こしとAI要約

受け入れ人数が増えてくると、定期面談は月に何件も入ります。面談そのものは30分ほどで終わるのに、報告書が溜まり、週末にメモを見返しながら書いている——ご担当者から、よく伺う話です。順番を決めると軽くなります。この記事では、録る・文字にする・要る形にまとめる、という3工程の分け方と、録る前に決めておくことを整理します。内容は2026年8月時点の公表内容にもとづく目安であり、最新の要件は各府省庁の公表内容をご確認ください。

重いのは面談ではなく、後の書き起こし

出入国在留管理庁の「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(別冊)は、定期的な面談を行った場合、1号特定技能外国人用と監督者用の定期面談報告書(参考様式第5-5号・第5-6号)を作成する必要があるとしています。本体の運用要領は、これを「1号特定技能外国人支援の状況に係る文書」として保存し、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上、支援を行う事業所に備えて置くこととしています。面談は、残る形にするまでが1件です。

これを3つの工程に分けると、どこを人がやり、どこを機械に寄せられるかが見えます。

工程 やっていること 寄せられる先
録る 面談中の発言を残す 録音・メモ。同意と保管場所を先に決める
文字にする 音声を文章に変える 文字起こしの道具に寄せられる
要る形にまとめる 報告書の欄に入る形へ整理する 下書きまで寄せられる。確定は人

時間がかかるのは2つ目と3つ目です。メモが断片のままなので、後から記憶をたどって書き直すことになります。1つ目を丁寧にすると、残りは下書きまで道具に寄せられます。

録る前に決める3つのこと

道具を選ぶ前に決めることが3つあります。紙1枚で足ります。

決めること 決める中身 書いておく言葉の例
1. 本人への説明と同意 何のために録り、どこまで残すか 「報告書を正確に作るために録音します。記録は社内で保管します」
2. データの置き場 音声・文字起こしをどこに保存し、いつまで置くか 「共有フォルダの面談記録へ。1年以上保管」
3. 道具に渡す範囲 音声も要約も、外へ渡す前に何を外すか 「氏名・在留カード番号・家族と健康の詳細は外す」

1つ目は、録音を本人の同意のうえで行うことです。運用要領(別冊)は、オンライン面談について、面談対象者の同意を確認した書面を帳簿書類として保存する必要があるとし、その様子は録画して契約終了の日から1年以上保管する必要があるとしています。対面の面談を録音するときも、目的を伝えて同意を得てから始めるのが自然です。

2つ目は置き場です。運用要領は、書面に代えて電磁的記録により文書を作成し、事業所に備えて置くことも認められるとしています。ただし、必要に応じて出力し、直ちに整然とした形式および明瞭な状態で書面化できることが条件です。担当者のパソコンの中だけ、という状態を避けて共有の置き場を1つ決めます。

3つ目が、道具に渡す範囲です。個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)は、個人情報取扱事業者に対し、個人情報を含むプロンプトを入力する場合は「特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること」を求めています。また、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合は法に違反する可能性があるとして、「当該生成AIサービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を挙げています。「入れてはいけない」ではなく「確認してから入れる」という書き方です。氏名を「Aさん」に置き換え、番号を外す前処理を決めておくと、毎回の判断が軽くなります。この確認は要約のときだけではありません。音声を外部の文字起こしの道具に渡す場面も同じなので、社内で完結する道具にするか、外す項目を決めてからにします。線の引き方は生成AIを社内で使い始める、最初の決めごとに整理しています。

要約は「様式に合わせて」作らせる

「要約して」とだけ頼むと、読みものとしてはきれいでも報告書の欄には移せない文章が返ってきます。自由な要約ではなく、報告書に残る形から逆算した項目立てで出力させます。

運用要領は、支援の実施に関する管理簿の「定期的な面談に関する事項」として、本人と監督する立場にある者の情報のほか、面談日時、面談内容および対応内容(面談記録、対応記録)、実施担当者(通訳人を含む)の氏名および所属を挙げています。残す欄が決まっているなら、出力もそこに合わせます。

出させる項目 頼み方の芯
面談日時・実施担当者 音声から拾わず、人が先に入れておく
本人が話した事実 発言に出た事実だけ。推測は書かせない
相談・要望の内容 仕事・生活・人間関係・学習に分けて並べる
その場での対応 誰が何をすると答えたか
次回までの確認事項 期限と担当を1行ずつ
判断がつかない点 「発言なし」「聞き取れず」とそのまま書かせる

最後の行が効きます。空欄を埋めようとして、言っていないことが補われるのを防ぐためです。項目立ては一度作れば使い回せます。何を聞くかの設計は定期面談で何を聞くかにまとめています。

最後に人が確認するのはどこか

下書きができても、そのまま提出物にはしません。総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)は、公平性の指針として、「AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討する」とし、その際は「人間の判断が自動化バイアスに左右されないような対策を講じるべきである」としています。自動化バイアスとは、同ガイドラインの脚注によれば、自動化されたシステムへの過度の信頼や依存が生じる現象です。

見る場所を先に決めておけば、全部を読み直さずに済みます。次の4点から始められます。

見る場所 起きやすいこと
固有の事実 日付・金額・部署名の取り違え
否定形 「困っていない」が「困っている」に反転する
補われた記述 本人が言っていない理由づけが足されている
対応の主語 誰がやると答えたかが曖昧になる

この4点を見て、直したところに印を残します。私たちが書類業務で採っている下書きは自動・確定は人という切り分けと同じ考え方です。

私たちの社内での使い方

2026年7月から8月にかけて、私たちは自社でも同じ形を回しています。移動中に思いついたことや後で読みたい資料の場所を音声とメッセージで社内の受信箱へ送り、自動で保存して文字起こしと要約にかけ、翌朝に一覧で受け取る運用です。

分かったのは、録る前に決めていないものは、後から使えないということでした。いつ・何について話したかを最初のひと言に入れていない音声は、文字にはなっても分類できません。逆に、頭に一言添えるだけで後が流れます。面談も同じで、日時と対象者を先に入れておくかどうかで手間が変わります。なお、これは私たちの体制と件数での話であり、同じ結果をお約束するものではありません。

どこまで渡してよいかは、会社ごとに変わります

どの情報をどの道具に渡してよいか、記録をどこに置くかは、契約しているサービスの条件、社内の保管の仕組み、受け入れの人数で答えが変わります。最後は自社の規程と提供事業者の公表資料でのご確認になりますが、迷う形のままで構いませんのでご相談ください。私たちは登録支援機関(登録番号 25登-011704)として面談と記録をご一緒し、AI顧問・DX支援として業務の切り分けからもお手伝いしています。支援を社内に移す話は支援業務の内製化に、ご相談はお問い合わせからどうぞ。

まとめ:次の面談は、紙1枚を持って入る

  • 記録は定期面談報告書(参考様式第5-5号・第5-6号)として残り、契約終了日から1年以上の備付けの対象
  • 工程を録る・文字にする・要る形にまとめるに分けると、任せられる範囲が見える
  • 録る前に決めるのは同意・置き場・渡す範囲の3つ
  • 要約は報告書の欄から逆算した項目立てで出させ、人が見るのは事実・否定形・補われた記述・対応の主語の4点

次の一手は、次回の面談から「録る前に決める3つ」を紙1枚にして持ち込むことです。新しいシステムは要りません。1枚できれば、文字起こしと要約はその上に乗せるだけです。

出典

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